Q&A 

Cell Counting Kit-8

Cell Counting Kit-8は、弊社におきまして新規に開発した色素:WST-8(株式会社同仁化学研究所特許:特願平8-121134)を用いた新規の細胞増殖/細胞毒性測定用Kitです。WST-8には、
(1)WST-1、MTTなどと比較して感度が高い。
(2)水溶性ホルマザンのため測定の再現性が高い。
(3)有機溶媒を使用しなくて良い。
(4)試薬が安定である。
等の特長があります。


Q.従来の Cell Counting Kitとどのように違うのですか?
A.Cell Counting KitはWST-1という色素を使っているのに対し、Cell Counting Kit-8はWST-8を使用しています。最も大きな違いは、色素が安定している点で、1ボトルタイプでお届けできますので、Cell Counting Kitと比べて操作が簡単になりました。また、感度も上がっています。


図A. Cell Counting Kit ()とCell Counting Kit-8()の比較グラフ


Q.細胞に対する試薬の毒性はありませんか?
A.従来の Cell Countint Kitと同様細胞毒性を低く抑えてあります。24時間後の細胞生存率のデータは下記の通りです。

製品名
24時間後の細胞生存率(%)
Cell Counting Kit (WST-1使用)
90.1
Cell Counting Kit-8 (WST-8使用)
90.2
他社WST-1 Kit
76.3


Q.キットはどのくらい安定でしょうか?
A.-20℃保存で1年間安定です。また、冷蔵でも3ヶ月は安定にご使用になれます。凍結・融解の繰り返しはなるべく行わないで下さい。

Q.付着細胞の他、浮遊細胞でも測定できますか?
A.測定可能です。但し注意点として、リンパ球細胞では感度が低い為、長時間呈色反応を行うことが必要です。

Q.更に感度を上げることは出来ますか?
A.下記グラフの通り中に含まれる試薬の量を増やすことで感度を上げることは十分可能です。しかし、それにより細胞毒性の上昇・コストの上昇という問題が生じることになります。付着細胞では十分な感度が得られることと、実験コストの抑制という面で、今のところ商品化する予定はございません。(浮遊系細胞の感度については、「新製品案内:Cell Counting Kit-F」を参照ください。)

   
図B. Cell Counting Kit-8 ()と試薬濃度を変えて高度化したもの
()の比較グラフ


Q.測定可能な細胞上限数、下限数は?
A.細胞により多少異なりますが、1,000〜25,000cells/well程度です。

Q.反応を途中で停止することが出来ますか?
A.冷蔵(4℃)する方法と、酸を添加しpHを下げる方法がございます。添加する酸は、0.1M HC1 10μl添加で十分停止できます。また、この場合、24時間は安定に測定できます。

Q.フェノールレッド入りの培地でも測定できますか?
A.従来の Cell Counting Kitと同様、測定可能です。

Q.培地中の血清の影響を受けませんか?
A.血清の影響は受けません。

Q.WST-1は450nmもしくは405nmで測定するのに対して、WST-8はなぜ450nmで測定するのでしょうか?
A.呈色するホルマザンの構造によるものです。WST-1に比べ長波長にシフトしています。

Q.どのような細胞で測定した例がありますか?
A.Hela、 RC、 L929、 HL60、P388、Balb3T3の6種で例があります。

Q.96穴プレート以外のプレートでは測定できますか?
A.測定は可能です。その場合、96穴の場合と同一の比率で試薬を添加して下さい。

Q.細胞増殖アッセイとしてチミジン取り込み試験がありますが、Cell Counting Kit-8の結果との相関性はありますか?
A.細胞増殖アッセイについては様々な方法があります。その中の一つがCell Counting Kit-8を用いた試験であり、チミジン取り込み試験です。チミジン取り込み試験は細胞がDNA合成期にチミジンを取り込むことを利用した方法で、放射性同位元素(RI)で標識したチミジンを培養液中に添加しDNA合成期に細胞に取り込まれたRI標識したチミジンの量をシンチレーションカウンターなどで定量します。細胞に取り込まれるチミジンの量は細胞増殖能と関係があり、細胞増殖アッセイとして広く知られている方法です。
 しかしながら、このチミジン取り込み試験はトリチウムで標識したチミジンを用いるために、この試験を実施するためにはRIを用いることのできる特別な施設を必要とします。
 弊社のCell Counting Kit-8はRIを全く使用しないため、特別な施設を必要としません。また下記に示します通り、HeLaおよびHL60細胞において、チミジン取り込み試験と高い相関性を示します。
 既に発売されているCell Counging KitもHeLaおよびHL60細胞において、チミジン取り込み試験と高い相関性を示しており、Cell Counging Kit-8と同様、チミジン取り込み試験の代替試験として安心してお使いになれます。

    
使用細胞:HL60
使用培地:RPM1640(10%牛胎児血清含有)
使用試薬:
  [3H]thymidne;37KBq/well
  Cell Counting Kit-8;10μl/well
反応時間:
  [3H]thymidne uptake;4時間
  Cell Counting Kit-8;3時間
測定波長:450nm

図C.[3H]-チミジンの取り込みとCell Counting Kitとの相関グラフ