新製品

アンモニウムイオノフォア

TD19C6

 イオン選択性電極に適したアンモニウムイオノフォアは、現在のところ天然物の環状化合物であるノナクチンとその誘導体などしか知られていません。アンモニウムイオンは単独原子からなるイオンではありませんが、そのイオン半径はカリウムイオンに近く、従いましてアンモニウムイオンとカリウムイオンを区別することはなかなか困難です。ノナクチンでさえも、NH4+/K+は約10であり、アンモニウムイオノフォアとして高選択性とは言えません。これまで幾つかの研究グループにより高選択性アンモニウムイオノフォアを目指した研究が行われていますが、十分な選択性を持つものは殆どありませんでした。

 慶應大学の鈴木先生らのグループは、ジベンジルエーテル誘導体がノナクチンを上回るアンモニウムイオン選択性を持つことを見出しました。ベンジルエーテル誘導体を多種合成しその性能を調べた結果、 NH4+/K+選択性が約100とノナクチンの10倍に当たるものまで合成されています。しかしながら、これらは電極膜で膜内保持能が低く電極膜の寿命の低さが問題となっています。

 アンモニウムイオノフォアとして新たに開発されたTD19C6は、これまでのアンモニウムイオノフォア類と異なりクラウンエーテルを母核に持つ環状化合物です。BBPAを膜溶媒に用いた時のアンモニウムイオン選択性をノナクチンのそれと比較すると、カリウムイオンに対する選択性はほぼ同程度であるものの、ナトリウムイオンに対するアンモニウムイオン選択性はノナクチンのそれよりも1桁以上も向上していることがわかりました。クラウンエーテルに立体的に嵩高い基をうまく配置することで妨害イオンの影響を抑えた、新規のアンモニウムイオノフォアです。今後の応用が大いに期待されます。

(本製品の販売は終了いたしました。)