新製品
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〈特長〉非常に短い半減期をもつNOドナーです。 半減期t1/2 = 1.8 sec (37℃、pH7.4)1) C5H7N3O4 Na2=219.11
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〈特長〉肝臓集積性のNOドナーです。 C3H11N3O2 =157.17
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PROLI/NO及びV-PYRRO/NOはL.K. Keeferらによって開発されたNOドナー(NONOate)です。
内皮細胞由来の血管弛緩因子として発見されたNOは、種々の病態の発症や増悪因子、保護因子としての役割が明らかとなるに従い、病態の改善に内因性のNOの産生を制御するような手段が有効であると考えられています。しかし、NOはあらゆる組織で産生されており、その他の調節因子と共に生体防御機構に作用しているため、非特異的にNO産生を上昇させたり阻害したりすることは生体の恒常性の維持を乱すおそれがあります。そのため、特定の細胞、組織にのみ作用するNO発生剤や消去剤の開発が期待されています。今回紹介しますPROLI/NOとV-PYRRO/NOは、その一部を担う効果が期待されます。
PROLI/NOはアミノ酸であるL-ProlineにNO分子が2分子付加した形をとっており、そのNO放出速度は従来のNONOateあるいは
NOCに比べて、半減期t1/2=1.8 sec(37℃、pH7.4)1)と非常に短いのが特長です。そのため
in vivoで投与した場合には、血流にのって拡散する前にNOを放出させることができ、局所でのNOによる抗血小板凝集抑制作用、血管弛緩作用などを観察することが可能です。
Keeferらは4μmol/lのPROLI/NOをヘパリン処理しないヒヒのポリエステル血管移植部直近の上流に与えると、通常に比べて移植表面での血栓形成が抑制されること、また誘導型の肺高血圧を持つヒツジの右心房にPROLI/NOを投与すると、全身の血圧には影響せずに、濃度依存的に肺血管を選択的に弛緩させて血圧を降下させることを報告しています1)。PROLI/NOはポリウレタンのような不溶性のポリマーに分散させることで長期間NOを放出するようにさせることもできると言われており、また、放出された
NOが仮にアミノ酸と反応してニトロソプロリンを形成した場合も、ニトロソプロリンに発癌性は無いことが報告されています
1) 。
PROLI/NOのNO放出は、NOCと同様pH依存的に起こり、pH
が低くなるほど速く逆に高くなるほど安定となります。中性付近においても非常に短い半減期をもつために、生体内において非特異的な部分での血管弛緩を起こす心配がありません。全身血圧に影響を与えずに局所的にNOの作用を見ることができるため、実験動物の血管平滑筋細胞や3)、肺静脈2)、頚動脈
4)などの組織に投与し、肺高血圧2)、クモ膜下出血に関与する大脳血管攣縮における
4)NOの薬理効果を見るなど、実験動物を用いた系での研究が報告されています。今後はさらに様々な病態の解明および改善への応用が期待されます。
V-PYRRO/NOはPyrrolidineに2分子のNOが付加したNONOateですが、通常のNONOateのジアゼニウムジオレート部分にビニル基を導入して安定性を高めています。このため通常の緩衝液中では安定ですが、肝細胞のシトクロームP450でビニル基が代謝分解されてPyrrolidine/NOとなって初めてNO
放出性となるため、肝臓集積性のNOドナーであることが報告されています。代謝後のPyrrolidine/NOになった際の半減期は
t1/2=3 sec(37℃、pH7.4)です。6)
Keeferらは、V-PYRRO/NOをラットの肝細胞と6時間インキュベートすると1mmol/lのV-PYRRO/NOからは40μmol/lのNOが、0.1mmol/lからは12.5
μmol/lのNOが放出されることをNO2- /NO3-レベルの増大として観察しています。ラットを用いた
in vivoの実験では、V-PYRRO/NOは肝臓のcGMPレベルを亢進し、 TNFaとガラクトサミンの投与によるアポトーシスと肝毒性に対して保護的に作用したことが明らかとなっています6)
。従ってV-PYRRO/NOは肝臓集積性のNOドナーであり、これらの結果はこのNONOateがin
vivoでのNO輸送に応用でき、劇症肝炎のような肝臓機能不全の治療に利用できる可能性を示唆しています。
参考文献
1) Joseph E. Saavedra, Garry J. Southan, Keith M. Davies, Anders Lundell, Chris Markou,
Stephen R. Hanson, Christophe Adrie, William E. Hurford, Warren M. Zapol, Larry
K. Keefer, J. Med. Chem., 39, 4361(1996).
2) Adric C, Hirani WM, Holzmann A, Keefer L, Zapol WM, Hurhord WE, Anesthesiology, 88(1),
190(1998).
3) Chen C, Hanson SR, Keefer LK, Saavedra JE, Davies KM, Hutsell TC, Hughes JD,Ku DN,
Lumsden AB, J. Surg. Res. , 67(1), 26(1997).
4) Pluta RM, Oldfield EH, Boock RJ, J. Neurosurg. , 87(5), 746(1997).
5) Champion HC, Bivalacque TJ, Wang R, Kadowitz PJ, Keefer LK, Saavedra JE, Hrabie JA,
Doherty PC, Hellstrom WJ, J. Urol. , 161(6), 2013(1999).
6) Joseph E. Saavedra, Timothy R. Billiar, Debra L. Williams, Young-Myeong Kim, Simon C.
Watkins, Larry K. Keefer, J. Med. Chem., 40(13), 1947(1997).
品 名 | 容量 | 価格(¥) |
PROLI/NO | 10mg | 9,200 |
V-PYRRO/NO | 10mg | 18,000 |