新製品

Get pureDNA Kit-Agarose


〈特長〉

●70%以上の回収率で高純度のDNAが得られる

● 広範なサイズのDNA ( 0.05− 50 kbp )の抽出が可能

●DNAをペレットで回収でき、目的濃度のDNA水溶液を容易に調製できる

● 短時間で回収できる

● TAEおよびTBE bufferで泳動したゲルの使用が可能

●低融点・高強度タイプのアガロースからの回収が可能

● 1sampleあたり75円と低コスト

 

アガロース電気泳動後の目的DNAの回収には、透析膜を用いた電気泳動濃縮法、アガラーゼのようなゲル分解酵素を用いた方法、シリカ担体を用いた方法等が汎用されています。中でもシリカ担体を用いた方法はキットとして市販されていますが、1)処理するゲルの使用量に制限がある、2)高分子量のDNAでは回収量が低い、という問題がありました。

Get pureDNA Kit-Agaroseはゲル溶解剤、ゲル除去剤およびDNA共沈剤で構成され、目的DNAを簡便に高回収率で回収します。DNAはペレットで回収されますので、バッファーで目的濃度の水溶液に調製でき、PCR、ライゲーション等にそのままご使用頂けます。

Get pureDNA Kit-Agaroseを使ったDNA回収例
Fig.1
Fig.1 λDNA/Hind IIIの
各フラグメントの回収
Lane 1 23kbp
Lane 2 9.42kbp
Lane 3 6.56kbp
Lane 4 4.36kbp
Lane 5 2.32kbp
Lane 6 2.02kbp
Lane 7 回収前
0.8%Agarose, 100V, 60min
Fig.2

Fig.2  pUC19/Msp Iの 
各フラグメントの回収

Lane 1 501bp
Lane 2 404bp
Lane 3 331bp
Lane 4 242bp
Lane 5 190bp
Lane 6 147bp
Lane 7 111bp
Lane 8 回収前
3%Agarose, 100V, 60min

〈キット内容〉

・ Gel lysis buffer 65 ml x 1 本

・ Precipitation solution 65 ml x 1 本

・ Co-precipitation solution (20 mg/ml glycogen)

0.5 ml x 1 本

〈キット以外に必要な試薬・機器類〉

・ 100%エタノール、70%エタノール

・ 1.5 ml遠心チューブ

・ マイクロピペット及びチップ

・ 遠心分離器

・ ボルテックスミキサー

・ 60℃恒温槽

〈保存方法〉

本キットは 冷蔵保存(0〜5℃)して下さい。

 

本キットを用いてpUC19/Msp I 及びλDNA/Hind IIIの各フラグメントを回収し、再び電気泳動した結果をFig.1,2に示します。いずれのDNAフラグメントも、70%以上の回収率で得られます。

また、DNAをペレットとして得ることができるため、バッファーで目的の濃度のDNA溶液を調製することが可能です。

 本キットでは、Co-precipitation solution (glycogen)を使用することで目的のDNAを目視出来るため、エタノール沈殿後の上澄み除去の際に失うことがありません。Co-precipitation solution なしでもDNAは回収できますが、ペレットとして確認できないことがありますのでご注意下さい。尚、Co-precipitation solution (glycogen)はPCR、ライゲーション等阻害致しませんので、そのままご使用頂けます。

〈操作方法〉

ゲルスライスは200 mg以下でご使用下さい*1

Step 1 EB等で染色したアガロースゲルから目的のバンドを切り出す *2

Step 2 切り出したゲルを1.5 ml遠心チューブに入れ、ピペットチップなどで細かく砕く。

Step 3 Gel lysis buffer 300μlを加え、60℃で10分間インキュベーションする。2〜3分毎にvortexする。 *3 

Step 4 ゲルが完全に溶解したことを確認後、室温に2分静置する。

Precipitation solution 300μlを加え、転倒混和する*4

Step 5 13,000×g以上で5分間遠心分離する。

Step 6 上澄みをピペットで新しい1.5 ml遠心チューブに移す*5

Step 7 Co-precipitation solution 2μlを加え、5秒間vortexする。更にエタノール800μlを加え5秒間vortexする。

Step 8 13,000×g以上で3分間遠心分離し、上澄みをピペットで除去する*6

Step 9 DNAペレットに70% エタノールを1 ml加え、5秒間vortexする。13,000×g以上で3分間遠心分離し、上澄みをピペットで除去する。同じ操作をもう一度繰り返す。

Step10 DNAペレットはそのまま保存するか、TE buffer (10 mmol/l Tris、1 mmol/l EDTA)等に溶解する。

〈注意事項〉

*1 ゲル重量が200 mg以上の場合は、ゲル重量の1.5倍容量のGel lysis buffer及びPrecipitation solution、4倍容量のエタノール及び70% エタノールをご使用下さい。Co-precipitation solutionは2μlご使用下さい。またその際1.5 mlチューブはご使用になれませんのでご注意下さい。

*2 TAE及びTBE bufferで泳動したゲルがご使用できます。

ゲル濃度3%以内でご使用下さい。

*3 ゲルが完全に溶解していない場合は加温時間を延長し完全にゲルを溶解させてください。

*4 Precipitation solution を添加すると沈殿が析出します。

*5 上澄みに沈殿物が混入している際は、再度遠心分離し上澄みのみを回収して下さい。

*6 上澄みを完全に除去してください。微量の上澄みの残存により、 PCR反応を阻害することがあります。完全に上澄みを除去するために、除去の最終段階では、最小容量用マイクロピペット(<20μl)のご使用をお勧めします。

※Gel lysis bufferおよびPrecipitation solution は、一旦開封するとボトルの口に白く析出する場合がありますが使用には差し支えありません。

 

〈トラブルシューティング〉

1) DNAが回収できない、または回収率が低い。

・ ゲルスライスを完全に溶解してください(トラブルシューティング 2)を参照)。

・ 遠心操作後、使用するチューブによってはDNAペレットがチューブ壁面にしっかりと付着していない場合があります。上澄み除去の際に、DNAペレットを吸い込まないようご注意ください。

2) ゲルが溶解しにくい。

・ 1.5mlチューブ内でゲルスライスをあらかじめ細かく刻んでください。

・ 加温溶解の際、サンプル溶液を2分毎にピペッティングまたは vortexしてください。

・ 加温時間を延長し完全にゲルを溶解させてください。

3) Step 6の遠心分離後の沈殿物が固くパックされていない。

・ ゲルスライスを十分に溶かしてPrecipitation solutionを加えてください。

・ Precipitation solutionを加えた後、均一になるようタッピングまたはvortexを行ってください。

・ 13,000×g以上の遠心が困難な場合は、遠心時間を長くし沈殿物が完全にパックされるまで遠心して下さい。尚、遠心操作は室温以下で行って下さい。

4) 取り出したDNAの純度が低い。

・ Step 6で白色沈澱物をピペットで吸いこまないようご注意ください。上澄みに不溶物が混入している際は再度遠心分離し上澄みのみを回収して下さい。

・ Step 8及び9において上澄み除去の最終段階では、最小容量用のマイクロピペットを使用し、上澄みを完全に除いてください。

〈試作品の評価にご協力頂いた先生方の感想〉

・ 「電気泳動(TAE)後のプラスミド(3kb)バンドから、プロトコルに従い抽出でき、形質転換に使用できました。サンプル数が少ない場合は勿論、多い場合でもステップ数が少ないので極めて便利だと感じました。」

(香川大学)

・ 「回収率に関しては70%以上あり、ガラスパウダーや遠心フィルターを用いた場合より優れていると思います。また作業時間も非常に短時間で済み、効率よく実験が進められることを実感いたしました。今回このキットを用いて抽出したDNAはサザンハイブリ用のプローブに使用しましたが、全く問題なく使用できました。」 (姫路大学)

・ 「アガロースゲルから回収したvectorとcDNAの制限酵素断片を使用して問題無くライゲーションできました。@何度も洗浄しなくてよい点 Aマトリックスなどの混入が無い点B最終産物を小さな体積で得られる点は非常に良いと感じました。」 (大阪大学)

・ 「染色体DNAを制限酵素EcoR1処理後、約20 kb付近の断片を精製してみました。かなり収量はいいようです。」 (崇城大学)

・ 「操作が簡単・短時間でしかも高回収できました。遠心操作において沈殿が明確であり操作性が高いと感じました。常法(シリカマトリックスを使った手法)に比べると約半分の時間で終了するため、学生には好評でした。ただStep 6で上清を全て回収すると1.5 mlのチューブでは溢れてしまいます。上清のうち0.6 mlだけ用いると100-150 μlのロスが出ますが、十分な量のDNAが回収されていました。」 (九州東海大学)

・ 「思ったよりも時間が掛かってしまいました。御社のキットは100-200 mg以下というゲル量で行うため、普段使っているゲル量(300-400 mg)よりも少ないという点で不便を感じました。(中略)シリカビーズを使う他社キットではビーズにDNAが吸着しているため、DNAを目視出来ません。でもこのキットはエタ沈法なのでその後の工程は、確実にDNAが回収できているのが目で見えるので安心して使えました。」 (早稲田大学)

 

平成13年10月 モニター調べ

本品開発に際し、試作品評価にご協力頂きましたことを厚くお礼申し上げます。

 

 

品名 容量 価格(¥) メーカーコード

 
Get pureDNA Kit-Agarose
200 samples 15,000 GK01