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はじめに

 タンパク質やアミノ基を有する低分子を金電極や SPR、QCM 等のセンサ基板上に固定化する方法のひとつとして、アミンカップリング法があげられます。アミンカップリング法は金表面上に形成したSAMs (Self-Assembled Monolayers)等のカルボキシル基を活性エステル化し、アミノ基を介してタンパク質などを固定化する方法です(図1)。

 Amine Coupling Kit には、アミンカップリングを行うための試薬およびバッファー類がすべて含まれており、 簡便にカルボン酸表面上へのタンパク質固定化を行うことができます。本キットに含まれる 1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル) カルボジイミド (WSC) と N-ヒドロキシこはく酸イミド (NHS) は、あらかじめ少量小分けされており、付属のBufferを添加し、それぞれを混合するだけで活性化溶液を調製することができます。タンパク質等の固定化や未反応の活性エステルをブロックするための溶液も含まれており、本キットを用いればカルボン酸の活性化、タンパク質等の固定化、そしてブロッキングまでの操作すべてを行うことができます。1回のカルボン酸の活性化に NHS/WSC 混合溶液を 0.2ml 使用した場合、本キットでタンパク質等の固定化基板の調製を およそ40回行うことが可能です。


図1 Amine Coupling Kitを用いたバイオセンサ作製法

キット内容

WSC 4 tubes
NHS 4 tubes
Activation buffer 20 ml x 1
Reaction buffer 10 ml x 1
Blocking solution    20 ml x 1

 

保存条件

0~5℃で保存して下さい

必要なもの ( キット以外 )

  • 1,000 µl マイクロピペット
  • マイクロチューブ
  • カルボン酸表面を有する基板
  • PBS

溶液調製

100 mmol/l WSC 溶液

WSC 1 チューブに Activation buffer 1 ml を添加してピペッティングにより溶解する。

100 mmol/l NHS 溶液

NHS 1 チューブに Activation buffer 1ml を添加してピペッティングにより溶解する。

 

  • NHS, WSC 調製溶液は保存できないため、用時調製してください。 

サンプル溶液の調製

タンパク質の場合

タンパク質溶液を 10~100 µg/ml 程度となるよう Activation buffer に溶解する。

低分子(アミノ酸、ペプチド、低分子一級アミン化合物など)の場合

アミノ基 を有する低分子を1mg/ml 程度となるよう Reaction buffer に溶解する。

 

  • 最適なサンプル濃度は種類及び用途によって異なります。タンパク質の場合は Activation bufferで、低分子の場合は Reaction buffer で溶解することで効率的に固定化反応が進みます。

プロトコル

サンプル固定化例 1 ~バッチ式で固定化する場合~

  1. 100 mmol/l WSC 溶液及び 100 mmol/l NHS 溶液を 200 µlずつマイクロチューブに添加し、ピペッティングにより混合する
  2. 操作1. で調製したWSC/NHS 混合溶液を金基板上のカルボン酸表面に適量添加したあと、10分間室温で静置する。
  3. サンプルを固定化した 基板をPBSで洗浄する。
  4. サンプル溶液を活性化したカルボン酸表面に適量添加し、30分間室温で静置する。
  5. サンプルを固定化した 基板をPBSで洗浄する。
  6. Blocking solution を基板上に適量添加し、30分間室温で静置し、未反応の活性部位をブロッキングする。
  7. ブロッキング後の基板を PBS で洗浄する。

 

サンプル固定化例 2 ~フロー式で固定化する場合~

  1. 100 mmol/l WSC 溶液及び 100 mmol/l NHS 溶液を 200 µlずつマイクロチューブに添加し、ピペッティングにより混合する
  2. PBS で平衡化した基板に、WSC/NHS 混合溶液 100 µl を送液する (送液速度例:10 µl/min、10分)。
  3. PBS を送液してシグナルが落ち着いた後、サンプル溶液 100 µl を送液する (送液速度例: 10 µl/min、10分)。
  4. PBS を送液してシグナルが落ち着いた後、Blocking solution 100µl を送液する (送液速度例:10 µl/min、10分)。
  5. シグナルが落ち着くまで PBS を送液する。

 

  • WSC/NHS 混合溶液は不安定です。溶液調製後はすぐにご使用下さい。

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Revised Dec., 11, 2023