※印刷が必要ない項目は、タイトルバーを閉じるを押して省略できます。

はじめに

 CalciumKitII-iCelluxは、細胞内Ca2+測定蛍光試薬と、その測定に必要なBuffer等を組み込んだキットです。薬剤低濃度領域のシグナル応答を大幅に向上し、96ウェル、384ウェルのマイクロプレートでの測定に最適化しています。

 これまでのCalciumKitIIシリーズと同様に、溶液中のバックグラウンド蛍光を消去するクエンチャー試薬を用いることで、Ca2+測定蛍光試薬を細胞へ負荷した後の洗浄操作を行うことなく、細胞内カルシウム濃度変化を測定できます。洗浄操作が不要となるため、HEK293細胞などの剥離しやすい細胞を使用する場合や、薬剤スクリーニングを行う場合に適しています。また、細胞種や添加する薬剤などに応じて、製品に付属したProbenecid(陰イオントランスポーター阻害剤)溶液を添加することが可能です。ただし、細胞種や添加する薬剤によっては、「レスポンスの高低」「リガンドとの相互作用」などが生じることがあります。測定系に影響の少ない方法での測定を行いたい場合は、Washタイプで姉妹品の「CalciumKit-Fluo4」をお薦めいたします。本キットでは、96ウェルプレート10枚分の測定が可能です。測定にはクリアボトムのプレートと下方励起・下方蛍光測定が可能なプレートリーダーをご使用ください。

キット内容

Calcium Probe x 10
Dimethylsulfoxide 2 ml x 1
250 mmol/l Probenecid 1.3 ml x 1
Quenching Buffer 100 ml x 1

保存条件

冷凍にて保存してください。

使用上の注意

  • Calcium Probe の Dimethylsulfoxide 溶液および Loading Buffer は用時調製してください。
    • Calcium Probe を Dimethylsulfoxide に溶かした状態で長期保存すると、Calcium Probe が分解する可能性があります。
    • Loading Buffer は、出来るだけ 1 回の操作で使い切ることをお薦めします。
  • Quenching Buffer の容器への着色が見られる場合がありますが、ご使用には問題ありませんのでそのままお 使いください 。

 

  • 本製品には、ガラス製容器を使用しております。保護手袋を着用するなど、お取扱に際してはご注意ください。

プロトコル

1. 細胞の培養

マイクロプレートの各ウェルに細胞浮遊液を分注し、炭酸ガスインキュベーター内で一晩培養する。

  • 付着細胞を使用する際は、96 穴プレートでは 15,000 cells/well、384 穴プレートでは 5,000 cells/well 程度 の細胞を一晩培養して使用することをお薦めします。
  • 浮遊細胞を使用する際は、96 穴プレートでは 100,000 cells/well、384 穴プレートでは 25,000 cells/well 程 度で使用することをお薦めします。
  • 培養に用いる培地の量は、96 穴プレートで 100 μl/well、384 穴プレートで 25 μl/well をお薦めします。

 

2. Loading Buffer の調製 (96 穴マイクロプレート 1 枚分)

  1. 添付の Dimethylsulfoxide から 10 μl を分取し、Calcium Probe 1 本に加えよく溶解する。
  2. 別途、用意した容器に添付の 250 mmol/l Probenecid を任意の量 *添加し、これに全量が 10 ml となるよう に Quenching Buffer を加え、良く混合する(本キットは予め、測定に最適な pH7.4 付近となるよう構成し てありますが、必要に応じて HCl や NaOH 溶液で pH を調整してください)。
  3. Calcium Probe の Dimethylsulfoxide 溶液 10 μl を 2)の溶液に添加してよく混合溶解し、Loading Buffer とする。
  • Probenecid 推奨濃度を 1.25 mmol/l としてありますが、濃度の変更は可能です。

Loading Buffer 10 ml を調製する場合、Probenecid のアッセイ時の最終濃度と、添加量の関係は下記のように なります。

250 mmol/l Probenecid溶液の添加量と最終濃度
添加量(μl) 40 60 80 100 120
最終濃度(mmol/l) 0.50 0.75 1.00 1.25 1.50

 

3. 細胞への Calcium Probe のロード

  1. 細胞を培養したままの状態で培地は取り除かない。直接、培地と当量(96 穴プレートで 100 μl/well、384 穴プレートで 25 μl/well) の Loading Buffer を、それぞれのウェルに加える。
  2. 37℃ で 1 時間、インキュベートする。
  3. そのまま薬剤添加による蛍光強度変化を、各種蛍光プレートリーダーで測定する。
    (λex = 480 ~ 500 nm, λem = 520 nm 付近 ; 細胞洗浄の必要はありません。) 

CS34: Calcium Kit Ⅱ -iCellux
Revised Nov., 17, 2023