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はじめに

 DNAは、化学物質や活性酸素、紫外線、放射線などにより様々な損傷を受けます。DNA損傷の中でも、特にDNA二本鎖の切断が生じると、ヒストンタンパク質H2Aの亜種であるH2AXのSer-139残基が、速やか、かつ広範囲にわたってリン酸化されます。このリン酸化H2AXはγH2AXと呼ばれ、DNA損傷のマーカーとして、発がん性評価への応用が期待されています。また近年では、γH2AXの検出は細胞老化を評価する手段のひとつとしても知られています。本製品群は、二次抗体法によりγH2AXを簡便に検出するための一次抗体、二次抗体及びブロッキング・染色溶液をセットにしたものです。


図1 γH2AXの検出原理

 

図2 各標識色素の励起・蛍光スペクトル

内容

Anti γH2AX antibody (マウス由来)
  • モノクローナル抗体研究所製の抗体を使用しております。
x 1
Secondary antibody - Green, Red or Deep Red (ヤギ由来) x 1
Blocking Solution x 1

 

保存条件

冷蔵保存してください。

キット以外に必要なもの

  • 超純水
  • Phosphate Buffered Saline (PBS)
  • マイクロピペット
  • Paraformaldehyde (PFA)
  • Triton X-100
  • 250 mM HEPES (pH7.4)

溶液調製

Anti γH2AX antibody stock solutionの調製

Anti γH2AX antibody のチューブに超純水100 μL加えピペッティングにより溶解し、Anti γH2AX antibody stock solution を調製する。

  • 溶解後は冷蔵で保存して下さい。3週間は保存可能です。

Anti γH2AX antibody staining solutionの調製

Anti γH2AX antibody stock solution をBlocking Solutionで50倍希釈し、Anti γH2AX antibody staining solutionを調製する。

  • 調製後はその日の内にご使用ください。

Secondary antibody staining solutionの調製

Secondary antibody - Green, Red, Deep RedをBlocking Solutionで50倍希釈し、Secondary antibody staining solutionを調製する。

  • 調製後はその日の内にご使用ください。

尚、本製品群の使用可能回数は染色溶液量は下表の通りです。

染色用液量 使用回数
100 µL 50
200 µL 25
2 mL 2

細胞の固定化及び蛍光免疫染色

  1. 細胞を蛍光イメージング用のディッシュ、チャンバースライドまたはマイクロプレートに播種し、37 oC、5% CO2インキュベーター内で一晩培養する。
  2. 培地を除去し、PBSを用いて細胞を1回洗浄する。
  3. 上清を除去し、4% PFA及び0.1% TritonX-100を含む250 mM HEPES (pH7.4)溶液を添加し、室温で5分間静置する。
  4. 上清を除去し、 PBSで2回洗浄する。
  5. 1% TritonX-100を含むPBS溶液を添加し、20分間室温で静置する。
  6. 上清を除去し、PBSで2回洗浄する。
  7. Blocking Solutionを添加し、20分間室温で静置する。
  8. 上清を除去し、PBSで2回洗浄する。
  9. 上清を除去し、 Anti γH2AX antibody staining solutionを添加し、室温で1時間静置する。
  10. 上清を除去し、PBSで2回洗浄する。
  11. 上清を除去し、 Secondary antibody staining solutionを添加し、室温で1時間静置する。
  12. 上清を除去し、PBSで2回洗浄する。
  13. 蛍光顕微鏡で観察する。

実験例1

Doxorubicin 処理によるHeLa細胞中のγH2AX検出

  1. μ-Slide 8 wellにHeLa細胞を播種し、37 oC、5% CO2インキュベーター内で一晩培養した。
  2. 培地を除去し、0.5 μmol/L Doxorubicinを含む培地を添加し、37 oC、5% CO2インキュベーター内で一晩培養した。
  3. 上清を除去し、PBSで2回洗浄した。
  4. 上清を除去し、4% PFA及び0.1% TritonX-100を含む250 mM HEPES (pH7.4)溶液 200 μLを添加し、室温で5分間で静置した。
  5. 上清を除去し、PBSで2回洗浄した。
  6. 1% TritonX-100を含むPBS溶液 200 μLを添加し、20分間室温で静置した。
  7. 上清を除去し、PBSで2回洗浄した。
  8. Blocking Solution 200 μLを添加し、20分間室温で静置した。
  9. 上清を除去し、PBSで2回洗浄した。
  10. 上清を除去し、Anti γH2AX antibody staining solution 200 μLを添加し、室温で1時間静置した。
  11. 上清を除去し、PBSで2回洗浄した。
  12. 上清を除去し、Secondary antibody staining solution 200 μLを添加し、室温で1時間静置した。
  13. 上清を除去し、PBSで2回洗浄した。
  14. 蛍光顕微鏡で観察した。

図3 Doxorubicin 処理によるHeLa細胞中のγH2AX検出

Green Ex/Em = 488 nm/ 500–550 nm
Red Ex/Em = 561 nm/ 570–620 nm
Deep Red Ex/Em = 640 nm/ 650–700 nm
Scale bars  20 μm

G265_G266_G267: DNA Damage Detection Kit - γH2AX - Green / Red / Deep Red
Revised Apr., 17, 2023