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はじめに

Biotin Labeling Kit-NH2は、アミノ基を有するタンパク質、特に抗体へビオチンを標識するのキットです。NH2-Reactive Biotinは、その分子内に活性エステル基を有しているため、アミノ基を有する標的分子と混合するだけで安定な共有結合を形成します。標識反応を阻害すような低分子化合物(トリスやグリシンなど)や未反応のNH2-Reaction Biotinは付属のFiltration Tubeを用いて容易に除去することができます。本キットには、DMSOを除く標識に必要なすべての試薬と作製したビオチン標識体を保存するための溶液が含まれています。

キット内容

NH2-Reactive Biotin 1 tube
Filtration Tube 1 tube
WS Buffer 13 ml x 1
15 ml Tube (for counterbalance) 1 tube
Reaction Buffer 1.2 ml x 1

保存条件

0 ~ 5°Cで保存してください。ご購入後、未開封の状態で6ヶ月安定です。

注意

アルミラミジップを一旦開封した後は、未使用のNH2-Reaction Biotinは、アルミラミジップに入れたまま、チャックをしっかり閉め、-20°Cで保存してください。NH2-Reaction Biotin以外は、0~5°Cで保存してください。

必要なもの (キット以外)

  • 200 μl, 1 mlマイクロピペッター
  • インキュベーター(37°C) 
  • DMSO    
  • 遠心機(15 ml遠沈管用)    
  • 2 ml容量以上のチューブ(標識体保存用)    

使用上の注意

  • 分子量50,000以上で、反応性のアミノ基を有するサンプルへ標識することができます。
  • 試料溶液の標識対象以外の分子量10,000以上の物質が含まれる場合は、標識反応を阻害する恐れがあります。
    あらかじめ試料溶液を精製して、ご使用ください。
  • 試料溶液に不溶性の低分子物質が含まれる場合は、延伸して上清のみを標識反応に用いてください。
  • 冷蔵保存中もしくは室温に戻した際に、Filtration Tubeに水滴様の液粒がみられることがあります。これはメンブランの乾燥防止剤が液粒化したもので、製品の性能に問題はございません。
  • 本キットには溶液の入ったマイクロチューブのコンポーネントが含まれています。チューブ内壁やキャップに溶液が付着していることがありますので、開封前に振り落としてからご使用ください。

プロトコール

操作 1.
WS Buffer 1 mlとタンパク質 1 mgを含む試料溶液a)をFiltration Tubeに加える。15 ml Tubeを用意する。

操作 2.
ピペッティングにより軽く混合する。アングルローターの場合、6,000 x g で30 分間遠心する。

操作 3.
WS Buffer 1 mlをFiltration Tubeに加えるb)

操作 4.
6,000 x g で 30 分間遠心する c)

操作 5.
DMSO 100μlをNH2-Reactive Biotinに加え、ピペッティングにより溶解する。

操作 6.
Reaction Buffer 900 μlをFiltration Tubeに加えた後、NH2-Reactive Biotin溶液80 μlを加える。

操作 7.
ピペッティングにより混合した後、37℃で10分間反応する。

操作8.
WS Buffer 1 mlをFiltration Tubeに加える。6,000 x gで30分間遠心するb,c)。ろ液が4 ml以上の場合、操作9の前にろ液を捨てる。

操作9.
WS Buffer 2 mlをFiltration Tubeに加える。6,000 x gで30分間遠心するb,c)。この操作を再度繰り返す。

操作10.
WS Buffer 2 ml を加えて、10 ~15回ピペッティングし、標識体を回収する。用意したチューブに移す。0~5℃で保存する。

a) 液量は3 ml以下でご使用ください。IgGのサンプル溶液が3 ml以上となる場合には、操作1と2を繰り返してIgG量が1 mgとなるように濃縮してください。濃縮操作において、ろ液が4 ml以上となった場合は、次の遠心操作を行う前にろ液を捨ててください。

b) Filtration Tubeの重さを量り、同じ重さとなるように 15 ml Tube に水を入れてください。この 15 ml Tube を遠心時のバランスとして使用してください。

c) スイングローターの場合、4,000 × g 以下で遠心してください。溶液がメンブレン上に 100 μl 以上残っている場合には、さらに10 分間遠心してください。遠心加速度が 6,000 × g 以下の場合、遠心時間を延長してください(例 : 2,000 × g で 50 ~ 60 分間)。

d) NH2-Reactive Biotinはチューブのそこに入っています。DMSOを加える際はチューブの底に入れ、軽くピペッティングして溶解させてください。また、NH2-Reactive BiotinはDMSO中の水分医より加水分解しやすいので、DMSOに溶解後は直ちに操作6へ進んでください。

e) 標識体を回収する際は WS Buffer のご使用を推奨しますが、必要に応じて各種の溶液をご使用ください。

 

標識反応

Q & A

市販の抗体を用いて標識できますか?

標識できます。ただし、安定化剤としてゼラチンや血清アルブミンなどの高分子が添加されている抗体では、標識反応が阻害される場合があります。このような抗体をご使用の場合は、あらかじめアフィニティーカラムなどにより精製してご使用ください。精製法について、ご不明な点がございましたらお問い合わせください。

このキットを使ってオリゴヌクレオチドやペプチドにビオチンを標識することできますか?

オリゴヌクレオチドやペプチドは、Filtration Tubeのメンブレンフィルター孔より分子量が小さく、メンブレンに保持することができないため、ラベル化することができません。

標識体を回収する際は、キット付属のWS Bufferを使う必要がありますか?

WS Bufferのご使用を推奨いたしますが、反応に応じて各種の保存溶液をご使用ください。

ビオチン標識体はどのくらい安定ですか?

標識体の安定性はタンパク質自身の安定性に依存しますが、本キットを用いてrabbit IgGにビオチン標識した場合、4℃で2か月は安定であることを確認しております。但し、長期保存する場合には等量のグリセロールを添加して、-20℃で保持してください。

タンパク質1分子当たりにビオチンはいくつ導入できますか?

ビオチン導入数はタンパク質中の反応性のアミノ基数に依存します。IgGの場合、1分子当たり7~10個導入されます。

ビオチン標識したタンパクを生細胞へ添加したいのですが、注意点はありますか?

細胞状態をより安定に保つため、生細胞懸濁溶液を調製する際は、2~10%FBSを含むPBSを用いることをお勧めします。

標識体を回収するWS Bufferは、生細胞へ影響しませんか?

影響しません。WS Buffer中には、細胞毒性を殆ど示さない量の安定化剤(界面活性剤)を含んでいます。もし、細胞への影響が気になる場合は、別途任意のバッファーを用いて標識体を回収してください。

LK55: Biotin Labeling Kit - NH2 (for 1mg)
Revised Nov., 29, 2023