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Sulfo-HMCS [code: S026]
 CAS No. 211236-35-0
 molecular weight: 438.39
 spacer length: 13.0 Å
Sulfo-KMUS [code: S250]
 CAS No. 211236-68-9
 molecular weight: 480.47
 spacer length: 16.7 Å

はじめに

HMCS、KMUSはアミノ基とSH基との架橋反応が可能な異反応性二価性試薬である。構造はマレイミド基とN-ヒドロキシスクシンイミド活性エステルを分子の両端にもち、アミノ基に対しては活性エステルが反応しSH基とはマレイミド基が選択的に反応する。酵素標識体の調製や単純ハプテンを担体タンパク質に結合させる時に有用である。Sulfo-HMCS及びSulfo-KMUSはスルホン酸基を有する活性エステル基が導入されているため、試薬を溶解するためのDMFやDMSOなど有機溶媒を用いることなく標識反応を行うことが可能である。

保存条件

0 - 5°Cにて保存してください。

  • Sulfo-HMCS、Sulfo-KMUSを溶解した溶液は保存できません。用時調製でご使用ください。

必要なもの

  • マイクロピペット(10 μl, 200 μl)
  • マイクロチューブ
  • 精製用ゲルなど
  • 有機溶媒 (dimethylsulfoxideなど)
  • 反応用緩衝液(PBSなど)
  • インキュベーター

複合体の作製例

【酵素-抗体】

 

①アルカリフォスファターゼ(ALP)をSulfo-HMCSによりマレイミド化する

  1. ALP 2 mg(14.2 nmol)をトリス緩衝液(0.1 mol/l,  pH7)475 μlに溶解する。
  2. Sulfo-HMCS 31 mg(71 μmol)を水5 mlに溶解して加える。
  3. 氷浴中で1.5時間反応する。
  4. PD-10カラムで精製する。

 

②マレイミド化ALPとFab’(*)とつなぐ

  1. マレイミド化ALP (0.96 mg, 192 μl )に0.1 mol/lリン酸緩衝液(5 mmol/l EDTA, pH6)で溶解したFab’抗体(0.441 mg, 0.15 ml)を加える。
  2. 16時間4℃で反応させる。
  3. 反応液をカラム精製する。
  • 抗体からFab’を調製する場合には、酵素処理し、F(ab’)2とした後、2-mercaptoethylamine 等で処理を行って

 

【チオール修飾基板-アビジン】

 

①SH基修飾基板をKMUSによりOSu化する

  1. チオール修飾基板を2 mmol/l KMUS (DMSO溶液)に浸し、60分間室温で反応し、KMUS修飾基板とする。


②KMUS修飾基板とavidinをつなぐ

  1. KMUS修飾基板を0.1 mg/ml avidin (50 mmol/l NaHCO3/ NaOH緩衝液, pH10.2)に60分間室温で反応する。
  2. avidin修飾基板を0.5 mol/l ethanolamine (0.1 mol/l NaH2PO4/ NaOH, pH8.5)で30分間浸漬する。
  3. 酢酸緩衝液(pH5.5)、4℃で終夜保存し、使用する。

 

【タンパク質-タンパク質】

 

①鶏卵由来リゾチーム(HEL)とSPDPをつなぐ(HEL-SPDP)

  1. HEL100 mgをPBS10 mlに溶解する。
  2. SPDP 2.2 mgをDMSO 50 μlに溶解し加える。
  3. 1時間室温で反応する。
  4. 反応液をカチオン交換カラムで精製する(50 mmol/l酢酸緩衝液, 0.5 mol/l NaCl, pH5)。

 

②マウスリゾチーム(ML)とHMCSをつなぐ(ML-HMCS)

  1. ML 80 mgをPBS 10 mlに溶解する。
  2. HMCS 2.8 mgをDMSO 50 μlに溶解し加える。
  3. 1時間室温で反応する。
  4. 反応液をカチオン交換カラムで精製する(50 mmol/l酢酸緩衝液, 0.5 mol/l NaCl, pH5)。

 

③HEL-SPDPをSH化し、ML-HMCSとつなぐ

  1. HEL-SPDP 2 mgをPBS(10 mmol/l EDTA含有)500 μlに溶解する。
  2. 10倍モル量のDTTを加える。
  3. 30分間室温で反応する。
  4. 反応液をゲル濾過で精製する。
  5. 上記溶液にML-HMCS 2 mgを加える。
  6. 一晩室温で反応する。
  7. 反応液をカチオン交換カラム(50 mmol/l酢酸緩衝液, 0.15~0.75 mol/l NaCl, pH5)で精製する。

参考文献

【小社のSulfo-HMCSを用い、複合体を作製した使用例】

詳細な実験条件につきましては該当する参考文献をご覧ください。

複合体の種類 Sulfo-HMCS の反応対象物 文献番号
NH2 SH基
酵素-抗体 Alkaline Phosphatase Fab’ 1)
  1. T. Nishikimi et al., PLoS One. 2013, 8(1), e53233.

FAQ

Q: Sulfo-HMCS、Sulfo-KMUSの使用条件を教えてください。

A: 活性エステルと反応対象物のアミノ基との反応は、弱アルカリ条件(pH7 ~ 9)で行ってください。
  その後の還元や他のチオールとの置換反応は中性条件で行ってください。

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製品名 製品コード 容量 距離(Å)
Sulfo-EMCS S024 50 mg 9.4
Sulfo-GMBS S025 50 mg 6.9
Sulfo-HMCS S026 50 mg 13.0
Sulfo-KMUS S250 50 mg 16.7
Sulfo-SMCC S330 50 mg 8.0
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Sulfo-AC5-SPDP S359 50 mg 12.6

S026_S250: Sulfo-HMCS/Sulfo-KMUS
Revised Apr., 05, 2024