- Sulfo-SMCC [code: S330]
CAS No. 92921-24-9
Molecular weight: 436.37
Spacer length: 8.0 Å
はじめに
Sulfo-SMCC は、分子の両端に反応性が異なる N-ヒドロキシスクシンイミド活性エステルとマレイミド基を導入した二価性試薬である。マレイミド基は SH 基、N-ヒドロキシスクシンイミド活性エステルはアミノ基と選択的に反応する。活性エステル基は、中性以上の pH でアミノ基と効率よく反応し、アミノ基と安定なアミド結合を形成する。一方、マレイミド基は、pH 6-7 の条件下でチオール基に対して選択的に反応することができる。また、リンカー部位にシクロヘキサン構造を有する Sulfo-SMCC は、リンカー部位に芳香環を有する同種の架橋剤と比較して、マレイミド基の安定性が増すという特長を持つ。更に、スルホン酸基を有する活性エステル基が導入されているため水に溶解でき、有機溶媒を用いることなく標識反応を行うことが可能である。
保存条件
吸湿を避けて、-20 ℃にて保存してください。
- Sulfo-SMCCを溶解した溶液は保存できません。用時調製でご使用ください。
必要なもの
-
- マイクロピペット(10 μl, 200 μl)
- マイクロチューブ
- 精製用ゲルなど
-
- 有機溶媒 (dimethylsulfoxideなど)
- 反応用緩衝液(PBSなど)
- インキュベーター
複合体の作製例
【酵素-抗体】
① 抗体を Sulfo-SMCC によりマレイミド化する
- 抗体を 10 倍モル量の Sulfo-SMCC と 50 mmol/l リン酸緩衝液 (pH 7.5) で1時間、24℃で反応する。100 mmol/l リン酸緩衝液 (pH6.0) でゲルろ過精製する (マレイミド化抗体)。
② アルカリフォスファターゼ(ALP)をSH化する
- ALP を 50 mmol/l リン酸緩衝液 (pH 7.5) で透析し、それに 10 倍モル量の SPDP を加え、30 分間 24℃でインキュベートする。その後、100 mmol/l リン酸緩衝液 (pH8.0) でゲルろ過精製する。
- SPDP 処理した ALP は DTT で還元 (30分間) し、再度ゲルろ過精製する (SH 化 ALP)。
③ マレイミド化抗体と SH 化 ALPをつなぐ
- 抗体と 3 倍モル量のALPを混合し、1 時間、24℃で反応する。その後、0.1 mol/l N-ethylmaleimide/アセトニトリル溶液を添加し (終濃度:2 mmol/l)、反応を停止する。反応混合物は、10 mmol/l リン酸緩衝液 (150 mmol/l NaCl, pH7.0) でゲルろ過精製する。各フラクションは 280 nm の吸収と、ALP 酵素活性を確認し集める。
【タンパク質-ペプチド】
① ovalbumin (OV) を Sulfo-SMCC によりマレイミド化する
- OV (5 mg/ml) と Sulfo-SMCC (8 mg/ml) をリン酸緩衝液 (100 mmol/l NaH2PO4,150 mmol/l NaCl, pH8.0) で1時間室温で反応する。
- 過剰な架橋剤をリン酸緩衝液 (NaCl 含, pH 7.4) でゲルろ過し除去する。各フラクション (1 ml) の吸光度 (280 nm) を測定し、OVを含むフラクションを集める (マレイミド化 OV)。
② マレイミド化 OV とペプチドをつなぐ
- Cys を N 端に導入した L-peptide (CELKDFLKELNIQVD) または A-peptide (CEAKDFAKEANAQAD) (3 mg/ml) をマレイミド化 OV に加え、3時間室温でインキュベートする。過剰なペプチドをリン酸緩衝液(NaCl 含, pH 7.4) でゲルろ過し除去する。280 nm の吸光度を測定し、OV を含むフラクションを集め、Centricon 30 (Amicon社) で濃縮する。
参考文献
【小社のSulfo-SMCCを用い、複合体を作製した使用例】
詳細な実験条件につきましては該当する参考文献をご覧ください。
複合体の種類 | Sulfo-SMCC の反応対象物 | 文献番号 | |
NH2基 | SH 基 | ||
酵素-抗体 | 抗体 | SH 化アルカリフォスファターゼ | 1) |
タンパク質 - ペプチド | ovalbumin | SH 化 L-peptide または A-peptide | 2) |
- M. Yamaga et al., J. Biol. Chem., 1999, 274, 28537.
- S. Harvey et al., Clin. Chem., 1998, 44(3), 509.
FAQ
Q: Sulfo-SMCCの使用条件を教えてください。
A: 活性エステルと反応対象物のアミノ基との反応は、弱アルカリ条件 (pH7 ~ 9) で行ってください。
その後の還元や他のチオールとの置換反応は中性条件で行ってください。
関連製品
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○クロスリンカー試薬
製品名 製品コード 容量 距離(Å)
EMCS E018 50 mg 9.4 100 mg GMBS G005 50 mg 6.9 100 mg DSP D629 1 g 8.5 SPDP S291 100 mg 4.1
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○水溶性クロスリンカー試薬(有機溶媒使用不可の実験系向け)
製品名 製品コード 容量 距離(Å) Sulfo-EMCS S024 50 mg 9.4 Sulfo-GMBS S025 50 mg 6.9 Sulfo-HMCS S026 50 mg 13.0 Sulfo-KMUS S250 50 mg 16.7 Sulfo-SMCC S330 50 mg 8.0 BS3 B574 50 mg 8.9 DTSSP D630 50 mg 8.5 Sulfo-AC5-SPDP S359 50 mg 12.6
よくある質問/参考文献
S330: Sulfo-SMCC
Revised Nov., 30, 2023