β-ガラクトシダーゼの検出試薬には、発色基質である5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-D-ガラクトピラノシド(X-gal)が古くからレポーターアッセイ等において幅広く利用されています。X-galは低分子のβ-ガラクトシダーゼ酵素基質で、ガラクトース部位と5-ブロモ-4-クロロ-3-インドール部位を有しており、β-ガラクトシダーゼとの反応でガラクトースが切り離されます。一方、同時に生成する5-ブロモ-4-クロロ-3-インドールは酸化されて、不溶性インジゴ色素(青色)を生じます。
また、β-ガラクトシダーゼ検出にはX-galのような発色基質の他に蛍光基質も利用されています。Fluorescein Di-β-D-galactopyranoside(FDG)は蛍光色素であるフルオレセインをベースとした蛍光基質で、β-ガラクトシダーゼと反応すると無蛍光から緑色蛍光を発し、酵素反応後に生じるフルオレセインはX-galで生じるインジゴ色素とは異なり水に溶解します。SPiDER-βGalはFDGと同様の蛍光基質ですが、細胞膜透過性が高いため生細胞に適用することができる、酵素反応後に生じた蛍光色素が近傍のタンパク質と結合するため細胞外への漏れ出しが殆どない、などの性質を有しています。
各々の検出試薬(基質)の特徴と違いを下の表に示しています。
製品名 |
FDG |
C12FDG |
X-gal |
ONPG |
|
検出方法 |
蛍光 |
蛍光 |
蛍光 |
発色 |
発色 |
基質特性 |
酵素反応後に蛍光を発する、かつ、近傍のタンパク質に結合する。 |
酵素反応によりフルオレセインを生成する。 |
FDGよりも細胞膜への透過性を向上させている。 |
酵素反応後に発色すると同時に不溶性の沈殿物を生成する。 |
酵素反応により黄色のo-ニトロフェノールを生成する。 |
発色・蛍光 特性 |
493,525/560 |
490/514 |
497/518 |
615 nm |
420 nm |
主な検出方法 |
蛍光顕微鏡 |
蛍光顕微鏡 |
蛍光顕微鏡 |
顕微鏡 |
プレートリーダー |
生細胞・組織への適用 |
○ |
× |
△ |
× |
× |
固定化試料への |
○ |
△ |
△ |
○ |
△ |
細胞内滞留性 |
◎ |
× |
△ |
○ |
× |
細胞染色濃度 |
1 μmol/l |
100 ~ 2 mmol/l |
33 μmol/l |
2.5 mmol/l |
2.3 mmol/l~ |
培養時間 |
15 min. |
20-25 min. |
20-60 min. |
Overnight |
N/A |
酵素反応部位の数 |
1 |
2 |
2 |
1 |
1 |
特徴 |
生細胞膜透過性が高く、反応後の基質が細胞から漏れ出さない。 |
最も汎用されている蛍光基質の一つ。 |
FDGよりも脂溶性を高めることで、 |
古典的な基質で最も汎用されている基質。 |
微生物の持つβ-ガラクトシダーゼの活性測定用途で汎用されてきた基質。 |
製品コード |
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