06 細菌研究用試薬

Microbial Viability Assay Kit-WST

Microbial Viability Assay Kit-WST

微生物増殖アッセイキット

  • 寒天培地法や微量液体希釈法に比べ短時間での検出が可能である
  • マイクロプレートを使った多検体処理が可能である
  • 培地成分による影響を受けにくい製品である
  • 製品コード
    M439  Microbial Viability Assay Kit-WST
容 量 本体価格
100 tests ¥6,000
500 tests ¥21,300
キット内容
100 tests ・WST Solution
・Electron Mediator Reagent (DMSO Solution)
1 ml×1
0.1 ml×1
500 tests ・WST Solution
・Electron Mediator Reagent (DMSO Solution)
1 ml×5
0.5 ml×1

性質

水溶性テトラゾリウムであるWST-8(特許2757348)を発色試薬として用いた微生物の比色検出キットです。
微生物はエネルギー代謝活動により細胞内にNAD(P)Hを生成しますが、WST-8は電子メディエーターを介する事で、このNAD(P)Hにより還元され水溶性formazan(オレンジ色)を生成します。このformazanの生成量は微生物のエネルギー代謝活性に比例するため、オレンジ色への呈色を見ることで、その微生物の生存率や活性度合を確認できます。

本品は福岡県工業技術センター生物食品研究所との共同開発製品です。

マニュアル

技術情報

評価にかかる時間を大幅に短縮することが可能

微生物の生存率は一般的にコロニー形成や増殖による濁りを目視評価されますが、時間が長くかかったり操作に熟練を要するなどの煩雑な点がありました。本キットでは大腸菌の場合、寒天培地法では通常22時間の培養が必要なのに対し、本キットでは8時間培養での評価が可能となりました。(1 CFU/ml)

また、培養後のコロニーカウントも試薬を添加するだけの簡単操作です。
測定の際は、96ウェルマイクロプレートに微生物懸濁液を準備して試薬を添加後、インキュベーター内で微生物の代謝活性により発色させます。


微生物懸濁液に試薬を添加

インキュベーター内で発色反応

吸光度検出

 

大腸菌の増殖アッセイ例

<測定手順>
① 大腸菌(NBRC3972)を TSBYE 培地中で前培養した(37℃、16 時間)。
② Mueller-Hinton(以下, MHB)を用いて約108 CFU/ml となるように前培養した大腸菌を希釈・調製し、さらにMHBを用いて10 倍希釈系列で菌懸濁液を作製した。
③ 96 ウェルマイクロプレートに、マルチチャンネルピペットを用いて各菌体密度の大腸菌を各ウェルへ190 μl ずつ分注した。
④ さらに、マルチチャンネルピペットを用いて各ウェルへ検出試薬10 μl を添加した。
⑤ 培地の蒸散とコンタミネーションを防ぐために、マイクロプレートに透明圧着シール(PCR用など)を貼り、吸光マイクロプレートリーダ(VersaMax, 日本モレキュラーデバイス)へセットした。
⑥ カイネティック測定モードで460 nm における吸光度を15 分おきに24 時間まで経時的に測定した(37℃)。

<測定結果及び定量性の確認>
下図は、大腸菌の増殖アッセイを経時的に示したものです。マイクロプレートの最左列が高密度(約108 CFU/ml)、右に行くにつれて低密度になっており、約1時間おきに1列ずつ発色がみられることがわかりました。

下図 は大腸菌の増殖アッセイの結果をグラフ化したものです。目視でも十分発色の確認が可能な吸光度変化0.5 を示すのに必要な時間(h)をy軸に、それぞれの菌体密度(CFU/ml)をx軸にプロットしたところ、下記のような直線関係式が導かれ、大腸菌の定量性を確認することができました。
y= - 0.43Ln(x) + 8.01
ここでx=1、すなわち1 CFU/ml の時、y=8.01 となることから、1 個の微生物を検出すのに約8 時間必要であることがわかります。つまり、約8 時間培養して吸光度変化がなければ大腸菌陰性と判定できます。

わかりにくい濁度から見やすい色の変化へ

マクファーランド比濁法は、菌液の生菌数濃度を濁度から推定する微生物学の手法ですが、本キットでは菌の濁度だけでは目視で判断しにくい低濃度の生菌の活性を、色の変化とすることで精度よく確認することができます。

以下は、微生物定量法が採用されている水溶性ビタミンのうちビタミンB6を例とした比較です。従来の微生物定量法で採用されている濁度法に比べ、短時間で精度よく定量することができます。

ビタミンB6の微生物定量例

<測定手順>
① 96 ウェルマイクロプレートにビタミン定量用培地を 90 μl 分注した。
② 各ウェルへ標準溶液あるいは試料溶液を 90 μl 分注した。
③ さらに、調製した各種ビタミン要求性の接種用菌体液 10 μl 及び検出試薬 10 μl を添加し、30 あるいは 37℃で一定時間静置培養した。
④ 吸光マイクロプレートリーダへセットし、エンドポイント測定モードで 460 nm におけ る吸光度を測定した。また、従来法は検出試薬を添加せず、610 nm の吸光度(濁度)を測定した。
使用微生物: Saccharomyces cerevisiae ATCC9080
使用培地: ビタミンB6定量用基礎培地
培養温度: 30℃
標準物質: ピリドキシン塩酸塩

<測定結果及び定量性の確認>
下図は本法(WST法)と従来法の直線性を比較したものです。本法では、24時間の培養時間で0.02~1 ng/mlの濃度範囲で直線性が得られたのに対して、従来法では24時間でも感度が不足しており、本法と同等の定量性を得るには48時間が必要でした。

 

薬剤感受性試験の例

<測定手順>
① 黄色ブドウ球菌(SA) およびメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA) を96 ウェルプレートに播種後、各濃度に調整した抗生物質を添加した。
② 6時間、37℃でインキュベート後、試薬を添加し更に2時間発色反応を行った。

<測定結果及び定量性の確認>
結果、生存細胞が存在するウェルのみ発色がみられ、目視にて容易に抗生物質の抗菌効果を確認できた。

SA : Staphylococcus aureus
MRSA : Methicillin-resistant Staphylococcus aureus

抗菌性試験での従来法(Spot-on-lawn法)との相関

抗菌活性測定への応用例

抗菌性試験について、従来法(Spot-on-lawn法、以下スポット法)とWST法での相関性の確認実験を行なった結果、スポット法は目視で阻止円の有無を確認するため測定に長時間を要しますが、WST法は従来法との相関性があり、さらに短時間で試験を行なうことができることがわかりました。以下は、スポット法とWST法での抗菌活性を測定した例です。

4種類の検定菌と被験試料として5種類の乳酸菌培養上清を用いて、抗菌性物質の生産能を有する乳酸菌のスクリーニングを行ないました。
ポジティブコントロールとしてナイシン生産菌であるLactobacillus lactis NBRC12007を、ネガティブコントロールとしてLactobacillus lactis NBRC100933を用いました。
上清中の抗菌性物質を分離するために乳酸菌培養上清(pH 6.5 - 6.8)を濾過滅菌後、MHB培地を用いて希釈系列を調製し検定菌培養液を分注後、インキュベーション(37℃, 6時間)しました。
検出試薬を添加後、インキュベーション(37℃, 2時間)しました。その結果、WST法とスポット法に相関が見られました。
4検定菌に対する24献体の抗菌活性を測定する場合、スポット法ではシャーレ(8スポット)12枚で、20時間以上かかるのに対し、本法では96ウェルマイクロプレートでは1枚、8時間程度で測定することが可能でした。

発色原理

微生物はエネルギー代謝活動により細胞内にNAD(P)Hを生成します。
WST-8は電子メディエーターを介する事で、このNAD(P)Hによって還元され、水溶性formazan(オレンジ色)を生成します。
このformazanの生成量は、微生物のエネルギー代謝活性に比例するため、オレンジ色への呈色を見ることで、その微生物の生存率や活性度合を確認することができます。

よくある質問

Q

1cmや0.25cmのセルを使って測定できますか?

A

基本的には測定は可能です。
但し、96ウエルマイクロプレートと比較して、発色試薬量を多く必要としますので、実際に測定可能な検体数が減少します。

Q

糸状菌での使用実績はありますか?

A

Aspergillus属の麹菌を使用した実績があります。

Q

菌の増殖試験を行う場合、インキュベート時間はどれくらい行えばよいでしょうか?

A

微生物種(菌)の細胞密度により、インキュベート時間が異なります。
例えば、細胞密度が1x106 CFU/mLで、約6時間後にコンフルエントに達する場合、2~5.5時間の間でインキュベートすることで、菌数を確認することができます。

Q

偏性嫌気性菌の測定は可能ですか?

A

 偏性嫌気性菌は、酸素に暴露することで死滅し、十分な発色が得られないため測定できません。

Q

微生物の測定実績を教えて下さい。

A

下記の微生物での測定実績がございます。

【Mould(カビ)】
Alternaria alternata NBRC31805
Aspergillus flavus NBRC4295
Aspergillus fumigatus NBRC33022
Aspergillus niger NBRC105649
Aspergillus terreus NBRC6346
Aspergillus ustus NBRC4128
Aureobasidium pullulans NBRC6353
Chaetomium globosum NBRC6347z
Cladosporium cladosporioides NBRC6348
Exophiala dermatitidis NBRC6421
Paecilomyces variotii NBRC33284
Penicillium citrinum NBRC6352
Penicillium pinzophilum NBRC33285
Phoma citricarpa NBRC5287
Pseudallescheria boydii NBRC32229
Rhizopus oryzae NBRC31005
Sporothrix schenckii NBRC32961
Trichoderma virens NBRC6355

【Yeast(酵母)】
Candida albicans ATCC90028
Candida krusei NBRC1395
Candida parapsilosis NBRC1396
Cryptococcus albidus NBRC0378
Cryptococcus neoformans ATCC66031
Saccharomyces cerevisiae NBRC2347
Trichosporon asahii NBRC103889
Candida utilis
Zygosaccharomyces rouxii

【Bacteria (Gram-positive)】
Bacillus cereus
Bacillus subtillis
Corynebacterium glutamicum
Enterococcus faecalis
Lactobacillus casei
Listeria monocytogenes
Micrococcus luteus
Staphylococcus aureus
Staphylococcus epidermidis

【Bacteria (Gram-negative)】
Acetobacter sp.
Escherichia coli
Klebsiella pneumoniae
Proteus mirablils
Pseudomonas aeruginosa
Salmonella enteritidis
Salmonella typhimurium
Serratia marcescens
Vivrio parahaemolyticus
Yersinia enterocollica

取扱条件

取扱条件
1.危険物第4類 第3石油類 危険等級Ⅲ, 2.火気厳禁 3.保存方法:冷蔵
危険・有害
シンボルマーク
感嘆符

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