- バイオフィルムとは
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セミナー公開「細菌・バイオフィルムについて(講師:麻布大学 教授 古畑 勝則 先生 )」
- バイオフィルム測定キットの選択ガイド
① 抗菌薬剤や培養条件の評価
② 抗菌素材や表面処理した素材の評価法
セミナー公開「細菌・バイオフィルムについて(講師:麻布大学 教授 古畑 勝則 先生 )」
① 抗菌薬剤や培養条件の評価
② 抗菌素材や表面処理した素材の評価法
バイオフィルムは、微生物とその代謝物である細胞外多糖(菌体外多糖 Exopolysaccharides: EPS)から構成される集合体で、歯の表面、台所や洗面台のヌメリなど、身近な環境に存在しています。
バイオフィルムは菌にとって、環境から自らを守る非常に有用な構造体とされていますが、我々人間にとっては疾病に関わる厄介な構造物です。
バイオフィルムが形成されるとその中の菌に対しては抗生物質が効きにくくなることが知られており、近年、バイオフィルムに対する薬剤の開発や、抗バイオフィルム活性を示す食品成分や素材の探索が行われています。
抗バイオフィルム活性を確認する際は、バイオフィルムを『作らせない』『殺菌する』『除去する』の3つの指標が重要視されています。
バイオフィルム測定における従来法(シャーレやプレートに直接バイオフィルムを形成させる方法)では、測定時の手間やデータのバラツキに課題がありました。
「バイオフィルム測定キットの選択ガイド」に掲載の小社キットシリーズでは、これらの従来法の課題を大幅に改善しました。
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セミナー参加者様からの質問について、古畑先生(講演者)より回答をいただいております。
なお、古畑先生のご経験に基づく見解になりますので、その旨ご理解の程を宜しくお願い致します。
"すでに形成されてしまったバイオフィルムを綺麗にするには、どういった方法がありますでしょうか。"
物理的に除去することがベストです。
"貧栄養の培地で評価する際、おすすめの「液体培地」はありますか?不織布を材質とするフィルターにも形成されるのでしょうか。"
R2A培地です。フィルターの場合は目詰まりです。
"貧栄養でバイオフィルムを形成する菌株は、富栄養でもバイオフィルムを形成しますか?"
正確にすみ分けはできませんが、貧栄養細菌は富栄養では増殖せず、BFを形成できないこともあると思います。
"バイオフィルムの形成よって、AHLによるQSが働きやすい傾向があるという認識でいいのでしょうか。また、バイオフィルムの形成によってQS以外に微生物に対して考えられる利点がございましたらお答えいただけると助かります。"
QSはバイオフィルムの形成、成熟に関与するとお考え下さい。利点は、あらゆる外敵(熱、乾燥、殺菌剤、消毒剤、抗菌薬など)から保護されることです。
"バイオフィルム形成時には、バイオフィルム外の浮遊している菌は減少するのでしょうか?"
減少しません。バイオフィルムの中と、外は別環境とお考え下さい。
"教科書では、バイオフィルム内部では、酸素分圧が低い(嫌気性が高い)、また、代謝産物が蓄積されている、との記載があります。個人的には、そのようなものを測定することは困難であると思いますが、何か知見がありましたらご教授をお願いいたします。"
実際に測定した経験では、バイオフィルム内部はそれほど嫌気状態ではありませんでした。他の研究者は、バイオフィルム内部は栄養的にリッチであると証明しています。
"微生物はすべてバイオフィルムを形成するのでしょうか。バイオフィルムを形成しない微生物も存在するのでしょうか。"
確証はありませんが、一般的に浮遊状態より付着状態の方が微生物的には安定だと言われています。
"活性炭などの多孔性物質の中にバイオフィルムは形成されるのでしょうか。その際は、孔のサイズが重要でしょうか。例えば0.1μm以下の孔の中でも形成される可能性はあるのでしょうか?"
この径の中で細菌が増殖できるとは思えません。単に、目詰まりの現象ではないでしょうか。むしろ、活性炭粒子の表面にバイオフィルムができます。
"環境中で形成されるバイオフィルム(例えば温泉の配管など)と、ラボで形成させたバイオフィルムは、構造上・物性上どの程度再現性があるのでしょうか?"
菌種によっては実験的なバイオフィルムの形成は可能になりつつありますが、実際のバイオフィルムとは一致しないと思います。複合系での形成はまだまだです。
"レジオネラ菌でのバイオフィルム形成についてのご苦労についてお聞きしたいです。"
形成条件の検討に年月を費やしました。やっと実験的に形成させることができました。
"グラム陽性・陰性菌どちらの方が形成しやすいなどはあるのでしょうか。"
知る限りにおいてはないと思います。どちらの菌種でもバイオフィルムを形成します。ただし、付着の様式は異なります。
【DojinNews】 ハイスループットバイオフィルム薬剤感受性試験法 小社のバイオフィルム測定キットを用いた実験方法について詳しく解説。各種微生物を用いたバイオフィルム形成条件の検討および代表的な抗生物質による評価結果について紹介しています。 |
【DojinNews】 バイオフィルムを知る―レジオネラバイオフィルムの評価― バイオフィルムの形成過程や解析法について学術的に解説。実験例ではレジオネラ属菌を用いたバイオフィルム形成条件の確認から阻害剤の検討方法と結果について紹介しています。 |
【学術ページ】 微生物に関して基礎から学べるコンテンツをご用意しています。 |
【ポスター発表】 日本防菌防黴学会 第48回年次大会において、ポスター賞を受賞しました。 ※リンクより、PDFファイルをダウンロードいただけます。 |
小社では、評価目的に応じて選択できるよう、下記のバイオフィルム測定キットをご用意しています。
目的 | 形成対象(素材) | 測定対象 | 製品 | |
① | 抗菌薬剤や培養条件による影響をみたい | ポリスチレン | バイオフィルム | Biofilm Formation Assay Kit |
微生物の活性 | Biofilm Viability Assay Kit | |||
② | 抗菌素材や表面処理した素材でみたい | 任意の素材 | バイオフィルム | Biofilm TestPiece Assay Kit |
※ 本キットは福岡県工業技術センター生物食品研究所との共同開発品です。
検出対象が異なる2製品をご用意しています。 |
96ウェルプレートに対応するピンプレートがキットに同梱されており、このピンプレートにバイオフィルムを形成させ測定を行います。
初めてバイオフィルムを測定される方は、Biofilm Formation Assay Kitでバイオフィルムの形成条件を確認されることをお勧め致します。
測定操作やキットの特長を解説した動画を製品ページにご用意しています。
<実験例>
バイオフィルムに対する薬剤の形成阻害や抗菌効果の指標としては、MBIC(minimum biofilm inhibitory concentrations):最小バイオフィルム形成阻害濃度や、MBEC(minimum biofilm eradication concentrations):最小バイオフィルム撲滅濃度が指標として用いられています。S. aureus について、各キットでMBIC ならびにMBEC を測定しました。
品名 | 測定対象 | 測定原理 | 測定波長 | 容量 | 製品コード |
Biofilm Formation Assay Kit | 細胞外多糖 | CV 法 | 590 nm | 96 tests | B601 |
Biofilm Viability Assay Kit | 生菌 | WST 法 | 590 nm | 96 tests | B603 |
様々な素材の試験片を用いて、素材毎のバイオフィルムの形成量を評価する場合に最適なキットです。本製品では、同仁化学独自の技術であるTestPiece Holderを用い、試験片を固定し測定操作を行います。
バイオフィルム形成後の染色像
詳細は製品ページをご覧ください。 | |
キット概要や実験例の解説動画 | 実験例:様々な素材を用いた測定 |
品名 | 測定対象 | 測定原理 | 測定波長 | 容量 | 製品コード |
Biofilm TestPiece Assay Kit | 細胞外多糖 | CV 法 | 590 nm | 24 tests | B606 |