01 細胞増殖/細胞毒性測定用試薬

Glycolysis/JC-1 MitoMP Assay Kit

Glycolysis/JC-1 MitoMP Assay Kit

解糖系/ミトコンドリア膜電位測定キット

  • 1つのサンプルで2つの指標(乳酸産生量とミトコンドリア膜電位)を測定できる
  • 誰でも簡単に実験ができるプロトコルを同梱
  • 実験に必要な試薬が全て同梱されたオールインワンのキット
  • 製品コード
    G272  Glycolysis/JC-1 MitoMP Assay Kit
容 量 メーカー希望
小売価格
富士フイルム
和光純薬
50 tests ¥51,400 345-10091
キット内容
50 tests ・Dye Mixture
・Lactate Standard
・LDH Solution  
・Lactate Assay Buffer   
・Reconstitution Buffer
・JC-1 Dye    
・Imaging Buffer (10X)       
×1
150 ×l×1
12 ×l×1
5.5 ml×1
550 ×l×1
×1
6 ml×1

性質

ミトコンドリア機能障害は、がんや老化、神経変性疾患など様々な疾患に関与していることが知られており、ミトコンドリア膜電位はミトコンドリア活性の指標としてよく測定されてる項目の一つです。また、ミトコンドリア機能が低下した老化細胞では解糖系を亢進させることや、解糖系に強く依存するがん細胞では解糖系が抑制されてもミトコンドリア機能を活性化させて生存を維持することが報告されており、ミトコンドリア機能と解糖系は密接に関与することが明らかになってきています。このことから、細胞内代謝変化をより深く理解するために、ミトコンドリア膜電位と解糖系の代謝産物である乳酸産生量を併せて見る必要性が高まっています。
 本キットは、細胞の乳酸産生量(Lactate Assay) とミトコンドリア膜電位(JC-1 Assay) を測定できるキットです。培養上清を乳酸産生量の測定に使用し、細胞をミトコンドリア膜電位の測定に用いることで、1つのサンプルで解糖系とミトコンドリア機能の2つの指標を測定できます。キットには測定に必要な試薬が同梱されており、また併用プロトコルをご準備しています。


技術情報

検出原理

本キットは、細胞外へ排出される乳酸量をWSTホルマザンを用いた吸光度測定法にて測定し、ミトコンドリア膜電位をJC-1色素を用いた蛍光測定にて検出するキットです。これらの測定対象を同一サンプルから測定することで、代謝経路を評価することが可能です。
また、本キットではマイクロプレートを用いた測定が可能です。

本キットで評価できること

乳酸産生量とミトコンドリア膜電位を測定することで 薬剤刺激による細胞内代謝変化がわかる

薬剤刺激等により、エネルギー産生の主要な経路である解糖系やミトコンドリア機能にダメージを与えたにも関わらず、細胞が生存している場合があります。これは、ミトコンドリア機能を阻害しても解糖系を亢進させることや、解糖系が阻害されてもミトコンドリア機能を活性化することで細胞が生存を維持、細胞死を抑制しようとするためであることが知られています。例えば、以下のように解糖系とミトコンドリア機能を併せて確認することで「細胞内で何が起きているのか?」が見えてきます。

同一サンプルの併用測定操作について

同一のサンプルから上清と細胞を分けることで、ミトコンドリア膜電位(JC-1 Assay)と乳酸産生量を測ることができます。詳細な測定方法は取扱説明書にて記載しております。

実験例: 解糖系阻害剤2-Deoxy-D-glucose(2-DG)で処理した HeLa 細胞の細胞内代謝変化

2-DG 処理したHeLa 細胞において、CCK-8アッセイにより細胞生存率を評価したところ、生存率はほとんど変化がありませんでした。しかし、乳酸産生量の減少が確認されたことから、解糖系が阻害されているにも関わらず生存率が維持されているのは何故なのか、JC-1 Assayによりミトコンドリア膜電位を併せて確認したところ、2-DG 処理したHeLa 細胞ではミトコンドリア膜電位の上昇が見られました。これらの結果から、HeLa 細胞は2-DG により解糖系が阻害されても、ミトコンドリア機能を亢進させることで生存を維持しているということが分かりました。同一のサンプルから、上清と細胞を分けることで、ミトコンドリア膜電位(JC-1 Assay)と乳酸産生量を測ることができます。
Cell Counting Kit-8( メーカーコード:CK04)は別売りです。

よくある質問

Q

1キットあたり測定可能なサンプル数を教えて下さい。

A

下記表に記載のサンプル数を測定できます。
(Lactate Assay)

  予備実験を行わない場合 予備実験を行う場合
96 well プレート 48 well 分 39 well 分

測定可能なサンプル数
(n=3で行った場合)

16 サンプル 13 サンプル

※試料の乳酸濃度が未知の場合、1 mmol/l Lactate standard solutionの吸光度よりも低くなるように予備実験を行い希釈倍率を決定してください。取扱説明書「測定用サンプルの調製」をご参考ください。
※予備実験を行わない場合または予備実験を行う場合の最大測定可能サンプル数を記載しています。
※Lactate Assayを行う際、培地に血清を含む場合、バックグラウンドコントロールとして、使用した血清入り培地のみの測定試料を準備することをお勧めします。


Lactate Assayのプレートレイアウト例(n=3)
(左:予備実験なし、右:予備実験あり)

(JC-1 Assay)

  付着細胞 浮遊細胞
培養機器
(JC-1 添加量)
6 well
(1 ml/well)
96 well
(50 μl/well)
ibidi 8 well plate
(100 µl/well)

35 mm dish
(1 ml/well)

1.5 ml microtube
(0.25 ml/tube)
測定可能
サンプル数
 3 sample 20 sample
(n=3で行う場合)
4 枚分 3 sample 15 sample

 ※本キットには、96穴マイクロプレート48 well分のJC-1 Assay用試薬が含まれます。

Q

本キットを用いてLactate AssayおよびJC-1 Assayを行うのにかかる時間を教えて下さい。

A

実験の流れ、各アッセイにかかる時間(目安)は下図の通りです。

Q

上清回収後、先にLactate Assayを行ってからJC-1 Assayを行うことは可能ですか。

A

先にLactate Assayを行った場合、刺激の条件によっては測定時間の差が結果に影響を及ぼす可能性があります。必ず、上清回収後は先にJC-1 Assayを行ってください。なお、細胞培養上清は冷凍(-20℃)で1ヶ月間保存可能です。

Q

[Lactate Assay] 450 nm以外の吸収フィルターで測定できますか。

A

450 nm以外では、490 nmのフィルターでの使用が可能です。ただし、吸光度値は450 nmで測定した場合と比較し低くなります。

Q

[Lactate Assay] 還元物質を含むサンプルは測定できますか。

A

サンプル中に還元性を持つ物質が含まれていると、色素WSTが誤発色して正確なlactateの変化が測定できません。培地に、還元性を持つ薬剤等を添加して実験を行う場合、バックグラウンドコントロールとして「細胞を含まない培地+薬剤のみ」の試薬ブランクを同時に評価し、サンプルの吸光度から試薬ブランクとして差し引いてください。

Q

[Lactate Assay] Working solutionはどのくらい安定ですか。

A

Working solutionは保存できません。用時調製して下さい。また、光に不安定であるため、調製後は遮光して下さい。遮光下室温で4時間安定です。

Q

[Lactate Assay] 細胞培養上清サンプルは保存できますか。

A

冷凍(-20℃)で1ヶ月間保存可能です。

Q

[JC-1 Assay] 血清入り培地を使用してもいいですか。

A

細胞洗浄やJC-1 working solutionに血清入り培地を使用して頂いて構いません。蛍光観察時はImaging Buffer solutionの使用を推奨しますが、血清入り培地をご使用になる場合はフェノールレッド不含培地を推奨します。

Q

[JC-1 Assay] 染色後の細胞固定化、または細胞固定化後の染色は可能ですか。

A

固定化によりミトコンドリアが脱分極するため、染色後の固定及び固定化後の染色はできません。

Q

[Lactate Assay] 検出されたサンプルの吸光度の値が培地のみ(blank)の吸光度と変わりません。原因と解決策 を教えて下さい。

A

原因として、細胞から放出される乳酸量が少ないことが考えられます。まずは播種する細胞数を増やして頂くかインキュベート時間をさらに延ばして下さい。

Q

[JC-1 Assay] 赤と緑の両方の蛍光値が増加 (または減少)しました。結果をどのように解釈すればよいのでしょうか。

A

薬剤処理サンプルとコントロールの各々で赤色蛍光値/緑色蛍光値の比を算出して下さい。両者を比較して蛍光比が低い程ミトコンドリア膜電位が低下していると考えられます。

(赤/緑の比で評価する理由)

 JC-1は膜電位依存的に細胞に蓄積するため、細胞の状態により細胞あたりのJC-1の濃度は異なる場合があります1), 2)(コントロールと薬剤処理サンプルでは細胞の状態が異なるため、JC-1の蓄積濃度が異なります)。

また、JC-1はミトコンドリア膜電位が高い状態では凝集し緑から赤色に蛍光がシフトします。この凝集体の量は膜電位の程度に依存する3)ことから、赤/緑の比でサンプル間のミトコンドリア膜電位を比較することができます。

 

〈参考文献〉

1) A. Cossarizza, et al., Biochem Biophys Res Commun., 1993, 197(1), 40.

2) A. Perelman, et al., Cell Death and Disease, 2012, 3, e430.

3) S. T. Smiley, et al., Proc. Nail. Acad. Sci., 1991, 88, 3671.

Q

より大容量のキットを購入することはできますか?

A

Glycolysis/JC-1 MitoMP Assay Kitは、Lactate Assay Kit-WST(製品コード:L256)とJC-1 MitoMP Detection Kit (製品コード:MT09)を組み合わせたキットとなっております。そのため、各キットを単体でご購入いただくと、より多くアッセイが可能です。

なお、Glycolysis/JC-1 MitoMP Assay Kitに同梱されているコンポーネントとLactate Assay Kit-WST(製品コード:L256)のコンポーネントにおいてコンポーネント名が異なっているものがありますが、組成は同一ですので、安心してご使用下さい。

製品名 Glycolysis/JC-1 MitoMP Assay Kit Lactate Assay Kit-WST
コンポーネント名 LDH Solution Enzyme Solution
Lactate Assay Buffer Assay Buffer


 

取扱条件

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保存条件: 冷蔵,遮光
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