これからはじめる 細胞膜動態研究

細胞膜は細胞の内側と外側を区分する境界としての役割だけでなく、物質の選択的な透過や伝達系などの重要な役割も担っています。
また、細胞膜はエンドサイトーシスや神経細胞の軸索など動的な変化も大きいことから、細胞膜の動態を捉えることは様々な研究分野で有用です。

用途で選べる細胞膜の関連試薬

同仁化学研究所が販売している細胞膜関連試薬と、期待される用途を紹介します。

 


細胞膜染色試薬

  • 生細胞・固定化細胞で使用できる
  • 低毒性で試薬の滞留性が高い
  • 培地に試薬を加えるだけ

核(青)、ミトコンドリア(赤)、細胞膜(緑)

動画で学ぶ!「細胞膜染色」公開中!

低毒性、洗浄不要、長く滞在

他社との比較

既存の細胞膜染色試薬に対して特に要望が多かった不満を PlasMem Bright シリーズが解決します。

製品名 細胞毒性※ 染色後の洗浄 血清入り培地の使用 滞留性 染色後の固定
PlasMem Bright (Green, Red) 低 不要 可 24 時間 可(PFA)
S社 製品P ー 必要 不可 ー 可
T社 製品D ー 必要 可 ー 不可
T社 製品C ー 必要 可 1.5 時間 可(PFA)

※ 核染色試薬で染色後、神経細胞の形態変化(凝集)を比較した場合

実験例

PlasMem Bright シリーズは低毒性で色素の細胞膜滞留性が高く、生細胞や固定化細胞を用いた様々な実験で利用できます。

細胞膜の鮮明な可視化

神経細胞(SH-SY5Yより分化誘導)の形態と軸索内のミトコンドリア局在観察

細胞膜への長期滞留性

 各細胞膜染色試薬で染色したHeLa 細胞を24 時間培養したのち、それぞれの蛍光画像を比較しました。結果、 PlasMem Bright シリーズは他社製品と比較して長時間、膜に滞留することが確認されました。

 


製品名 容量 製品コード 価格
細胞膜染色試薬
PlasMem Bright Green 100 μl×1※1 P504 25,000
PlasMem Bright Red 100 μl×1※1 P505 25,000
※1 <使用回数の目安> 100 μl あたり、35 mm dish 10 枚、μ-Slide 8 well 10 枚

 


エンドサイトーシス検出

  • より正確にエンドサイトーシスを可視化できる
  • 生細胞でエンドサイトーシスを追跡できる
  • pH 変化に対する応答性が高い

動画で学ぶ!「エンドサイトーシス」公開中!

 

ECGreen-Endocytosis Detection は小胞膜に局在し、pH に依存して蛍光を発する試薬です。
そのため、蛍光アナログよりも直接的に初期エンドソームの段階から可視化することができます。

小胞膜を正確に染める

他社製品との比較

製品名 Endosome での局在 pH 応答性 Lysosome への局在
ECGreen-Endocytosis Detection 小胞膜 ECGreen > デキストラン 局在
T社 製品P(蛍光標識デキストラン) 小胞内 局在
T社 製品C Endosome への局在は少ない 応答性なし 局在

細胞内小胞輸送系を鮮明に可視化

Wortmannin はエンドソームのリサイクリングやリソソームへの移行を阻害し、エンドソームの肥大化を惹起することが知られています。
Wortmannin によるこれらの変化をECGreen と初期エンドソームマーカータンパク質Rab5-RFP( 蛍光蛋白質) との共染色、およびECGreenとLysosome 染色試薬との共染色で確認しました。その結果、Wortmannin 添加時にはECGreen は肥大化したエンドソーム(Rab5-RFP)と共局在(左図:Merge)し、Lysosome とは共局在しない(右図: Merge)ことが確認できました。上記の結果から、ECGreen は細胞内小胞輸送系の変化を可視化することができます。

 

 


製品名 容量 製品コード 価格
エンドサイトーシス検出試薬
ECGreen-Endocytosis Detection 40 μl×1※2 E296 45,000
※2 <使用回数の目安> 40 μl あたり、35 mm dish 20 枚、μ-Slide 8 well 20 枚

 

 


エクソソーム膜・タンパク質 蛍光染色キット

エクソソームの染色にExoSparklerシリーズが選ばれる3つの理由

  • ① 細胞外で凝集しない
  • ② このキットだけで蛍光標識から精製まで
  • ③ エクソソームの性質にほとんど影響しない

動画で学ぶ!「エクソソーム」公開中!

 

近年、細胞から分泌される細胞外小胞(Extracellular vesicle ;EV)の一種であるエクソソームが、がんの悪性化や転移に促進的に寄与することが明らかとなり注目を集めています。
エクソソームによる細胞間コミュニケーションを解析するためには、細胞への取り込みをモニタリングする技術が重要であり、細胞外小胞の脂質二重膜やタンパク質を蛍光色素で染色する技術が汎用されています。

 

① 細胞外で凝集しない ExoSparklerシリーズ

Mem Dye-Deep Red または製品P(緑または赤)で染色したエクソソームをHeLa 細胞へ添加し、細胞内へ取り込まれるエクソソームを蛍光顕微鏡で確認しました。その結果、製品P(緑または赤)で染色したエクソソームにおいては、色素の凝集が疑われる細胞外の蛍光輝点が確認されました。


■ 観察条件
Mem Dye-Deep Red(紫): Ex 640 nm / Em 640-760 nm
S 社 製品P(緑): Ex 488 nm / Em 490-540 nm
S 社 製品P(赤): Ex 561 nm / Em 570-640 nm

 

また、Mem Dye-Deep Red または製品P(緑または赤)の色素溶液をNTA(ナノ粒子トラッキング解析)で確認した結果、Mem Dye-Deep Red では色素の凝集物が確認できなかったのに対して、製品P(緑または赤)では色素の凝集が疑われる100-500 nmの粒子が観察されました。

※測定装置:LM10-HSBFT 14 (Nanosight社製)

 


Mem-Dye溶液ならびに製品P溶液の粒子径変化

 

なお、Mem Dye-Green, Red においても、Mem Dye-Deep Red と同様に色素の凝集は確認されませんでした。

 

エクソソームの膜を染色するためによく用いられている膜染色色素(S社 製品P)には、色素自体が凝集を起こし、エクソソームに由来しない蛍光起点が生じたり、エクソソームの性質変化やバックグラウンドの上昇などを招く課題が挙げられています1), 2)。
ExoSparklerシリーズで用いている色素(Mem Dye-Green, Red, Deep Red)は凝集を起こさず、エクソソームの性質にもほとんど影響を及ぼさないため、より正確にエクソソームの動態を観察することが可能です。

 

参考文献
1) Mehdi Dehghani et al., “Exosome labeling by lipophilic dye PKH26 results in significant increase in vesicle size”.bioRxiv., 2019, doi:10.1101/532028.
2) Pužar Dominkuš P et al., “PKH26 labeling of extracellular vesicles: Characterization and cellular internalization of contaminating PKH26 nanoparticles.” Biochim Biophys Acta Biomembr., 2018, doi: 10.1016/j.bbamem.2018.03.013.

②このキットだけで蛍光標識から精製まで

ExoSparkler シリーズは、エクソソームの標識に最適化したプロトコルに加え、蛍光標識後の未反応色素を除去できるフィルトレーションチューブを同梱しているため、簡単な操作で蛍光標識エクソソームを調製できます。

 

精製手法(未反応色素の除去)の比較

ExoSparklarシリーズで未反応色素の除去に使用しているフィルトレーションチューブは、同用途で従来から用いられているゲルろ過法と比較して、高い回収率でエクソソームを精製することが可能です。

  回収率※
フィルトレーションチューブ(本キット) 50% 程度
ゲルろ過法 10% 程度
※ 小社での実施例:精製前後のエクソソーム粒子数をNTA(ナノ粒子トラッキング解析)で比較

フィルトレーションチューブを用いた精製の有効性確認の蛍光画像を各製品ページに掲載しています。

 

③ エクソソームの性質にほとんど影響しない

Mem Dye-Deep Red または製品P(緑または赤)で染色する前後のエクソソームについて、NTA(ナノ粒子トラッキング解析)とゼータ電位を測定することで、染色によるエクソソームの変化を確認しました。
その結果、Mem-Dyeシリーズ(Green、Red、Deep Red)は、エクソソームの性質にほとんど影響を及ぼさないことが確認されました。

 

エクソソームの粒子径に対する影響
Mem-Dyeシリーズ(Green、Red、Deep Red)ならびに製品P(緑、赤)の各10 µmol/l DMSO溶液を調製し、10 ug(タンパク質量として) のエクソソームを染色後にNTA(ナノ粒子トラッキング解析)を行いました。

 

結果としてMem-Dyeシリーズで染色したエクソソームは未染色のエクソソームに対して、粒子数ならびに粒子径への影響がほとんど見られませんでしたが(下図左)、製品Pによる染色前後では粒子数と粒子径に顕著な変化がみられました(下図右)。
※測定装置:LM10-HSBFT 14 (Nanosight社製)

 

Mem-Dyeによる染色前後のNTA比較
製品Pによる染色前後のNTA比較

 

エクソソームの膜電位に対する影響

Mem-Dyeシリーズ(Green、Red、Deep Red)ならびに製品P(緑、赤)の各10 µmol/l DMSO溶液を調製し、10 ug(タンパク質量として) のエクソソームを染色後にゼータ電位を測定しました。

結果として、Mem-Dyeシリーズで染色したことによるゼータ電位の変化は、製品Pで染色した場合と比較して小さくなることを確認しました。
※測定装置:Zetasizer Nano ZSP (Malvern Panalytical社製)

 

Mem-Dyeシリーズならびに製品Pによる染色前後のゼータ電位比較

 

時間依存的なエクソソームの局在変化を見る

<実験条件>
超遠心法で精製したエクソソーム(タンパク質量として10 µg)をMem Dye-Deep Red(エクソソーム膜蛍光染色キット)で染色し、リソソーム染色試薬で染色したHeLa細胞(1.25×104 cells)に添加、1時間後ならびに4時間後の蛍光画像を観察した。
結果、時間の経過に伴いMem Dye-Deep Redの蛍光輝点(紫)はリソソームの局在(緑)と重なり(白)、時間依存的にエクソソームの局在が変化している様子が確認された。

■ 検出条件
Mem Dye-Deep Red:Ex 640 nm / Em 640 – 760 nm
リソソーム染色試薬: Ex 488 nm / Em 490 – 540 nm

 

豊富なラインナップ

ExoSparklerは膜(Mem Dye)またはタンパク質(Protein Dye)を染色する蛍光色素として、各3色(Green, Red, Deep Red)を取り揃えています。

■ 実験条件
超遠心法で精製したエクソソーム(タンパク質量として 10 μg)を各色素で染色し、HeLa細胞(1.25×104 cells)に添加、24 時間インキュベートし、洗浄後の蛍光画像を観察した。

■ 観察条件
Green:Ex 488 nm / Em 490 - 540 nm
Red :Ex 561 nm / Em 570 - 640 nm
Deep Red :Ex 640 nm / Em 640 - 760 nm

 


製品名 容量 製品コード 価格
エクソソーム 膜蛍光染色キット
ExoSparkler Exosome Membrane Labeling Kit-Green 5 samples※3 EX01 25,000
ExoSparkler Exosome Membrane Labeling Kit-Red 5 samples※3 EX02 25,000
ExoSparkler Exosome Membrane Labeling Kit-Deep Red 5 samples※3 EX03 25,000
エクソソーム タンパク質蛍光染色キット
ExoSparkler Exosome Protein Labeling Kit-Green 5 samples※3 EX04 20,000
ExoSparkler Exosome Protein Labeling Kit-Red 5 samples※3 EX05 20,000
ExoSparkler Exosome Protein Labeling Kit-Deep Red 5 samples※3 EX06 20,000
※3 精製済エクソソーム(超遠心法)として、タンパク質:1-10 μg/sample、粒子数:10-100×108 個/sample

 


 
 


 

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