フェロトーシスは、致死レベルまでの過酸化脂質の蓄積を特徴とするプログラムされた細胞死の一形態である。本論文では、細胞質中のシステインの不足ではなくリソソーム内のシスチン欠乏がATF4の発現を制御し、フェロトーシス感受性を決定することを報告している。また、細胞質システインをリソソームシスチンに変換する合成mRNA試薬CysRxを開発し、細胞内栄養のリプログラミングががんにおいて選択的にフェロトーシスを誘導する可能性を示した。 |
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Lysosomal cystine governs ferroptosis sensitivity in cancer via cysteine stress response |
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注目ポイント ・システインの欠乏は、転写レベルで適応的なATF4の発現を誘導する ・リソソームにおけるシスチンの不足は、AhRシグナル伝達経路を介してATF4を発現を誘発する ・システイン欠乏によってシステインストレス応答が弱まることでフェロトーシス感受性が高まる ・CysRxによって、細胞内栄養のリプログラミングを通してがん細胞のフェロトーシスを促進することが示唆された |
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関連製品 | |
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アプリケーションデータ | |
細胞内Fe2+とリソソーム機能の同時検出リソソーム機能と鉄の恒常性
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エラスチンによるフェロトーシスの誘導エラスチンは、シスチン・トランスポーター(xCT)を阻害することにより、GSHの原料であるシスチンの取り込みを阻害する。このGSH量の減少によって、ROSが除去されず過酸化脂質が蓄積し、フェロトーシスが誘導されることが知られている。エラスチンで処理したA549細胞を用いて、細胞内Fe2+、ROS、過酸化脂質、グルタチオン、細胞外へのグルタミン酸放出、シスチン取り込みを測定した。その結果、エラスチンによるxCTの抑制が観察され、シスチンの取り込みとグルタミン酸の放出が減少した。さらに、エラスチン処理により細胞内のグルタチオンが減少し、細胞内のFe2+、ROS、過酸化脂質が増加した。
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