トリプルネガティブ乳がん(TNBC)患者に対する治療選択肢の不足は、転移再発率の高さと予後不良の一因となっている。本論文では、TNBC細胞は高密度培養すると細胞外環境に抗フェロトーシス因子を分泌するが、低密度でコロニーを形成するとフェロトーシスが誘導されることを示した。抗フェロトーシス因子の分泌と、単一細胞のフェロトーシスに対する脆弱性は、細胞密度に比例するステアリルCoAデサチュラーゼ(SCD)の発現低下に依存することを明らかにした。さらに、セレンタンパク質生成に必須のステップである Sec-tRNAsecの生合成を阻害するとTNBC細胞の肺への転移を効果的に阻害されることを示した。これらの結果は、Sec-tRNA sec生合成の阻害が、脂肪酸飽和度の不均衡によってフェロトーシスを誘発する転移性TNBC細胞を根絶するための有効な治療標的となる可能性を示唆している。 |
Breast cancer secretes anti-ferroptotic MUFAs and depends on selenoprotein synthesis for metastasis |
注目ポイント ・セレンの制限は、低細胞密度で培養されたTNBC細胞で選択的にフェロトーシスを引き起こす ・高細胞密度で培養された TNBC細胞は、SCD由来の抗フェロトーシス脂質結合MUFAを分泌する ・SCDの発現は細胞密度によって制御され、腫瘍では高く、転移細胞では低くなる ・Sec-tRNAsecの生合成阻害はTNBCの転移を選択的に阻害する |
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アプリケーションデータ |
エラスチンによるフェロトーシスの誘導:細胞内取り込みと酸化還元バランスの評価
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