コエンザイムQ(ユビキノン)は、ミトコンドリア呼吸鎖における普遍的な電子伝達体として、また細胞膜における抗酸化物質として脂質過酸化とフェロトーシスを抑制する酸化還元活性脂質である。しかしながら、ミトコンドリア内で合成されたコエンザイムQが細胞内に分配されるメカニズムは未だ解明されていない。本論文では、細胞質脂質輸送タンパク質STARD7が、細胞内コエンザイムQ輸送の重要因子であり、フェロトーシス抑制因子であることを明らかにした。ロンボイドプロテアーゼPARLによる切断後、ミトコンドリア膜間腔と細胞質にSTARD7が局在することで、ミトコンドリアにおけるコエンザイムQの合成と細胞膜への輸送が確保される。ミトコンドリアのSTARD7はコエンザイムQの合成、酸化的リン酸化機能、そしてクリステの形態形成を維持する一方、細胞質のSTARD7はコエンザイムQの細胞膜への輸送に必須であり、フェロトーシスを阻害している。これらの結果は、PARLを介したSTARD7のプロセシングによってコエンザイムQの合成と細胞内分布を調整する必要性を示し、PARLとSTARD7がフェロトーシスを阻害する有望な標的であることを示唆している。 |
Mitochondria regulate intracellular coenzyme Q transport and ferroptotic resistance via STARD7 |
注目ポイント ・ロンボイドプロテアーゼPARLはSTARD7を切断し、ミトコンドリア膜間腔と細胞質の両方に局在させる ・ミトコンドリアのSTARD7は、コエンザイムQの合成を補助し、酸化的リン酸化を促進し、クリステの形態を維持する ・細胞質のSTARD7は、コエンザイムQの細胞膜への輸送を促進し、フェロトーシスを防ぐ ・細胞質のSTARD7の過剰発現は、細胞のフェロトーシスに対する抵抗性を高め、ミトコンドリアにおけるコエンザイムQの利用可能性を低下させる |
関連製品 |
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アプリケーションデータ |
薬剤誘導による細胞死の各指標の変化アポトーシス誘導剤であるStaurosporinまたはフェロトーシス誘導剤であるErastin、RSL3で処理したHepG2細胞の細胞外LDH、ホスファチジルセリン、細胞生存率、細胞内Fe2+、脂質過酸化の変化を解析しました。 <使用製品>
<実験条件> |