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			  本研究では、体内のグルコースが不足した状態(グルコース飢餓)がリソソームの機能低下を引き起こすメカニズムを調査した。細胞内外の不要物や老廃物を分解する役割を担うリソソームの機能低下は、リソソーム疾患やがん、アルツハイマー病など様々な疾患との関連が報告されている。筆者らは、グルコース飢餓下では細胞の成長や増殖、代謝などを制御する酵素mTORのリソソームへの蓄積が増加し、リソソーム膜上に存在する解糖系酵素が効果的に機能しなくなることでリソソーム機能が低下する可能性を示した。さらに、グルコース飢餓下で、鉄と過酸化脂質の蓄積を特徴とする細胞死であるフェロトーシスが発生することを確認した。さまざまな実験の結果、グルコース飢餓下ではリソソームの機能低下に続いてリソソーム内の鉄の取り込みに関わるDMT1の分解が進み、細胞内に鉄が蓄積してフェロトーシスが発生する過程が明らかになった。また、グルコース飢餓下ではGPX4という酵素がリソソーム膜に蓄積し、フェロトーシスを阻害することが確認された。  | 
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			 Glucose starvation causes ferroptosis-mediated lysosomal dysfunction 論文へのアクセスはこちら: K. Miki, el al., iScience (2024)  | 
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			 注目ポイント ・グルコース飢餓下ではmTORやリソソームの膜上に存在する解糖系酵素が効果的に機能しなくなり、リソソームの機能が低下する ・リソソームの機能低下に続いてDMT1の分解が進み、細胞内に鉄が蓄積してフェロトーシスが起こる ・グルコース飢餓下ではGPX4がリソソーム膜に蓄積し、フェロトーシスを阻害する  | 
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| 関連製品 | |||
			
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| アプリケーションデータ | |||
			細胞内Fe2+とリソソーム機能の同時検出リソソーム機能と鉄の恒常性
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			エラスチンによるフェロトーシスの誘導エラスチンは、シスチン・トランスポーター(xCT)を阻害することにより、GSHの原料であるシスチンの取り込みを阻害する。このGSH量の減少によって、ROSが除去されず過酸化脂質が蓄積し、フェロトーシスが誘導されることが知られている。エラスチンで処理したA549細胞を用いて、細胞内Fe2+、ROS、過酸化脂質、グルタチオン、細胞外へのグルタミン酸放出、シスチン取り込みを測定した。その結果、エラスチンによるxCTの抑制が観察され、シスチンの取り込みとグルタミン酸の放出が減少した。さらに、エラスチン処理により細胞内のグルタチオンが減少し、細胞内のFe2+、ROS、過酸化脂質が増加した。 
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