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心臓のエネルギーは主にミトコンドリアにて生成されるが、心不全の状態ではミトコンドリアの構造と機能が損なわれ、糖や脂肪酸の利用効率が悪化する。その結果、ATPを生成する能力が低下し、心臓へのエネルギー供給が不十分になる。本論文は、GLP-1受容体作動薬セマグルチドが心筋のエネルギー供給不足に対処し、心機能を改善するメカニズムを解明した。
TAC誘発性心機能障害を示したマウスにセマグルチドを投与した実験では、心筋の肥大や線維化、心機能の障害が有意に改善した。解析により、セマグルチドがミトコンドリアの構造と機能を改善していることが明らかとなった。また、グルコース酸化を促進することでピルビン酸のTCA回路への取り込みを促進しATP産生を増加させることで心機能障害が改善されていることが確認された。
さらに、セマグルチドがPI3K/AKT経路を介して、DNAに働きかけるCreb5というタンパク質と核内受容体NR4a1の活性化を優位に減少させることがわかった。また、NR4a1 ノックダウンマウスを用いた実験では、心機能の改善とともに心筋のミトコンドリアの機能障害が緩和された。
本研究では、セマグルチドがPI3K/AKT経路を介してCreb5 やNR4a1の働きをコントロールし、ミトコンドリアの機能を改善して心疾患の進行予防に寄与する可能性があると結論付けている。
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Semaglutide ameliorates cardiac remodeling in male mice by optimizing energy substrate utilization through the Creb5/NR4a1 axis
論文へのアクセスはこちら: Yu-Lan Ma, et al, Nature Communications, (2024)
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注目ポイント
・セマグルチドは、心不全における心筋の肥大や線維化、心機能の障害を抑制する。
・セマグルチドはミトコンドリアの構造と機能を改善し、ATPの生成を増加させて心疾患の進行予防に寄与する。
・セマグルチドが心機能を改善するメカニズムとして、PI3K/AKT経路を介したCreb5/NR4a1の転写調節であることを同定した。
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| 関連製品 |
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2種類のがん細胞における代謝経路の比較
<Lactate生成量とATP量による評価>

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Oligomycin刺激により酸化的リン酸化でのATP合成を阻害、また2-Deoxy-D-glucose(2-DG)により解糖系でのATP合成を阻害した際のATP量とLactate生成量の変化を確認したところ、HeLa細胞は解糖系に依存し、HepG2細胞は酸化的リン酸化に依存してATP合成している結果が得られた。
HeLa細胞は酸化的リン酸化を阻害した際、ATP量は変わらず(①)、Lactate生成量が増加する(②)ことから、酸化的リン酸化が阻害されても解糖系をさらに活性化することができ、逆に解糖系を阻害するとATP量が大きく減少することから(③)、エネルギー産生を解糖系に依存していることが示唆された。一方、HepG2細胞は、酸化的リン酸化を阻害した際、Lactate生成量が増加していることから(④)、解糖系の亢進によりエネルギー産生を補おうとしているがATP量は減少している(⑤)、すなわち解糖系を亢進させてもATP産生を補えていないことを意味する。さらに解糖系を阻害した場合よりもATP量が減少する(⑥)ことから、エネルギー産生を解糖系よりも酸化的リン酸化に依存しているということが示唆された。
使用製品
Glycolysis/OXPHOS Assay Kit
<OCR値による評価>
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同じ細胞数にてミトコンドリア脱共役剤であるFCCP刺激により、細胞の酸素消費を促進した際のOCRを測定した。その結果、HepG2細胞はHeLa細胞よりもOCR値が高く酸化的リン酸化への依存度が大きいことが示唆され、ATP量やLactate量を指標に評価した場合と相関する結果が得られた。
使用製品
Extracellular OCR Plate Assay Kit
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ミトコンドリア電子伝達系の阻害

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Jurkat細胞にAntimycin刺激を行い、ミトコンドリア電子伝達系を阻害した際の細胞の状態変化を、様々な指標から評価した。
その結果、電子伝達系の阻害により①ミトコンドリア膜電位の低下および②OCRが低下した。また、③解糖系を強制的に維持するために、ピルビン酸から乳酸への代謝が亢進することで、④解糖系全体のNAD+/NADH比が低下し、さらに活性酸素種(ROS)増加に伴う⑤GSH枯渇、グルタチオン生合成に必要なNADPHの減少に伴う⑥NADP+/NADPH比の増加を確認した。
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