|
がん細胞の周りに混在する細胞や成分が作り出す腫瘍微小環境は、腫瘍形成に影響を及ぼすとされている。本論文では、腫瘍微小環境の構成要素であるがん関連線維芽細胞(cancer associated fibroblast:CAF)に着目し、老化したがん関連線維芽細胞(老化CAF)が腫瘍形成にもたらす影響を明らかにした。筆者らは、老化CAFが乳がん組織に存在し、CAFの中でも筋線維芽細胞型myCAFというタイプに限定して存在することを確認した。特に、p16を発現する老化CAFは乳がん組織内のmyCAFに多く存在していた。さらに、老化CAFが異常な細胞を排除するナチュラルキラー(NK)細胞の働きを弱める仕組みを解明した。老化CAFはNK細胞を阻害する細胞外マトリックス(ECM)を産生し腫瘍形成を促していた。老化CAFの除去が腫瘍の進行を抑えている結果から、老化CAFを標的とした治療が乳がん治療に役立つ可能性を示した。 |
|
Senescent CAFs mediate immunosuppression and drive breast cancer progression |
|
注目ポイント ・老化したがん関連線維芽細胞(老化CAF)は、ナチュラルキラー(NK)細胞の活性を抑制する細胞外マトリックス(ECM)を産生し、腫瘍の進行を促進する ・老化CAFの除去は腫瘍の進行を遅延させることから、老化CAFを標的とした治療が今後の乳がん治療に寄与する可能性を示した ・老化CAFがmyCAFに限定して存在していることから、細胞老化に特定のCAFやプログラムが関与している可能性がある |
| 関連製品 |
|
|
|
|
|
|
| アプリケーションデータ |
老化誘導によるA549細胞の代謝シフト
|
![]() |
Doxorubicin誘導老化細胞を用いた酸化ストレス関連マーカーとの多重染色解析(フローサイトメトリー)
Doxorubicin処理により老化誘導したA549細胞(DOX)と通常細胞(CTRL)を用いて、老化細胞の酸化ストレス関連マーカーの変化をフローサイトメトリーで多重染色解析を行った。老化マーカーとしてSA-β-GalをCellular Senescence Detection Kit - SPiDER Blue, 酸化ストレスマーカーとしてtotal ROSの検出をROS Assay Kit -Photo-oxidation Resistant DCFH-DA-, DNAダメージマーカーとしてγH2AXをDNA Damage Detection Kit - γH2AX – Redで検出した。 <実験手順> |

























