細胞老化は老化に関連するだけでなく、胚発生や創傷治癒などの生理的・病理的過程にも影響を及ぼすことが知られている。急性重症肝疾患は肝細胞の老化と関連しており、しばしば多臓器不全に進行するが、詳細は未だ解明されていない。本論文では、肝障害モデルと肝細胞特異的老化の遺伝学的モデルを用いて、肝老化に伴う肝外臓器における老化の進展と関連臓器の機能障害を示した。さらに重症急性肝不全患者において、肝細胞老化の程度が、疾患の転帰、肝移植の必要性、および肝外臓器不全の発生を予測することを示した。また、TGFβ経路が老化の全身的広がりの重要なメディエーターであることを同定し、生体内でTGFβを阻害することにより、他の臓器への老化の伝達が遮断され、肝老化による腎機能障害が予防されることを明らかにした。 |
Hepatocellular senescence induces multi-organ senescence and dysfunction via TGFβ |
注目ポイント ・細胞老化は老化だけでなく、胎児の発達、創傷治癒、肝疾患における多臓器機能不全にも影響を及ぼす ・肝細胞の老化はTGFβシグナル伝達経路の全身的影響によって引き起こされる ・肝細胞の老化の程度が臓器不全を含む急性肝不全の転帰を予測する ・TGFβを阻害すると老化の広がりが抑制され、肝臓誘発性の腎機能障害が予防されたことから、多臓器機能障害における老化の役割が強調された |
関連製品 |
|
|
|
|
|
アプリケーションデータ |
老化誘導によるA549細胞の代謝シフト
|
![]() |
Doxorubicin誘導老化細胞を用いた酸化ストレス関連マーカーとの多重染色解析(フローサイトメトリー)
Doxorubicin処理により老化誘導したA549細胞(DOX)と通常細胞(CTRL)を用いて、老化細胞の酸化ストレス関連マーカーの変化をフローサイトメトリーで多重染色解析を行った。老化マーカーとしてSA-β-GalをCellular Senescence Detection Kit - SPiDER Blue, 酸化ストレスマーカーとしてtotal ROSの検出をROS Assay Kit -Photo-oxidation Resistant DCFH-DA-, DNAダメージマーカーとしてγH2AXをDNA Damage Detection Kit - γH2AX – Redで検出した。 <実験手順> |