老化細胞は、SASPの分泌を通じて、部分的に加齢に関連した組織機能不全を引き起こすことが知られている。ミトコンドリアはSASPの主要な制御因子であるが、その根底にあるメカニズムは解明されていない。また、ミトコンドリアはアポトーシスに必要不可欠で、アポトーシスの際、ミトコンドリア外膜の広範な透過(MOMP)によって細胞は死に至る。本論文では、ミトコンドリアの小さなサブセットで発生する MOMP (miMOMPと呼ばれる)が細胞老化の特徴であることを発見した。さらに、生体内でMOMPを阻害すると、炎症マーカーが減少し、老化マウスの健康寿命が改善することを示した。これらの結果から、アポトーシスと老化はミトコンドリア依存性のメカニズムによって制御されており、致死的ではないミトコンドリアのアポトーシスストレスがSASPの主要なドライバーであることを明らかにした。 |
Apoptotic stress causes mtDNA release during senescence and drives the SASP |
注目ポイント ・細胞老化の過程でアポトーシスストレスによってmiMOMPが発生しmtDNAの放出を引き起こす ・mtDNAが放出されると、SASPによって引き起こされる炎症が誘発される ・生体内でMOMPを阻害すると、炎症マーカーが減少し、老化マウスの健康寿命が改善した |
関連製品 |
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アプリケーションデータ |
異なる薬剤を用いた評価アポトーシス誘導剤である Staurosporine またはDoxorubicin で処理した Jurkat 細胞の細胞外 ATP 放出(E299:Extracellular ATP Assay Kit-Luminescence)、細胞増殖(CK04:Cell Counting Kit-8)、細胞外 LDH (CK12:Cytotoxicity LDH Assay Kit-WST)の時間変化を評価しました。その結果、Staurosporine を処理した細胞では 4 時間後に細胞外へのATP の放出が最大になり、Doxorubicin で処理した細胞では 24 時間後に最大となりました。これらの結果から、薬剤の違いにより挙動に差があることが確認されました。 |
薬剤誘導による細胞死の各指標の変化アポトーシス誘導剤であるStaurosporinまたはフェロトーシス誘導剤であるErastin、RSL3で処理したHepG2細胞の細胞外LDH、ホスファチジルセリン、細胞生存率、細胞内Fe2+、脂質過酸化の変化を解析しました。 <使用製品> <実験条件> |