MitoBright IM Red for Immunostaining

免疫染色用ミトコンドリア検出蛍光色素 Red
- 免疫染色法と共染色できる
- 固定化・膜透過処理後もミトコンドリアに滞留しやすい
- 血清培地中で染色できる
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製品コードMT15 MitoBright IM Red for Immunostaining
容 量 | メーカー希望 小売価格 |
富士フイルム 和光純薬 |
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20 μl | ¥14,400 | 345-09861 |
20 μl x 3 | ¥30,500 | 341-09863 |
性質
ミトコンドリアは細胞内のエネルギー産生の場であるだけでなく、がんや老化、アルツハイマーやパーキンソン病等の神経変性疾患などと密接に関連する非常に重要なオルガネラの一つです。
近年の顕微鏡技術の発展に伴い、「ミトコンドリアは単独で機能する」という考え方は、「ミトコンドリアは他のオルガネラと相互作用して機能する」という考え方に変わってきており、ミトコンドリアの形態を詳細に観察する需要が増えています。
詳細なミトコンドリア形態の観察の際、既存の低分子色素ではミトコンドリアへの滞留性が課題であり免疫染色法との共染色が困難でした。
MitoBright IM Redは滞留性の課題を改善し、免疫染色法と共染色が可能かつ鮮明なミトコンドリア形態を観察することが可能です。
マニュアル
技術情報
免疫染色法との共染色
既存の低分子ミトコンドリア染色試薬には、免疫染色法と共染色する際に鮮明さに課題がありました。これは、ミトコンドリアに集積していた試薬が、細胞染色後の固定化や膜透過処理によってミトコンドリア以外の細胞質や細胞外へ移動することで、バックグラウンドの増加や蛍光シグナルの低下を起こします。MitoBright IMは、生細胞で染色した後の免疫染色の工程でもミトコンドリアに保持されやすい構造を有するため、免疫染色と併用する際の課題を解決する新しい色素です。
MitoBright IMでミトコンドリアを染色したHeLa細胞を固定化と膜透過処理後、小胞体のマーカータンパクであるKDEL抗体を用いた免疫染色法と共染色しました。また、蛍光画像の矢印(青色)で示した範囲において、各々の蛍光強度を測定しました(右図)。その結果、鮮明にミトコンドリアおよび近接する小胞体の形態を観察できました。
<検出条件>
MitoBright IM Red (赤) Ex: 561 nm, Em: 560-620 nm
KDEL抗体-Alexa 488 (緑) Ex: 488 nm, Em: 490-550 nm
スケールバー:10 μm
MitoBright IM は、他とココが違う
一般的に、低分子の細胞染色色素は、細胞染色後の固定化や膜透過処理で滞留性を失うことが知られています。MitoBright IMは、既存の低分子色素と比べて滞留性を向上させた構造を有したことで、免疫染色時の蛍光強度や局在性の低下を抑えることが可能です。
・蛍光強度差の比較
MitoBright IMと既存色素(T社)で生細胞のミトコンドリアを染色した後に固定化および膜透過処理を行い、各工程における蛍光イメージングを比較しました。生細胞染色時と比較すると、固定化および膜透過処理により両方の色素とも蛍光強度は低下しました。しかしながら、MitoBright IMは既存色素と比べて滞留性が高く、高輝度でミトコンドリアを染色できることが確認されました。
<検出条件>
Ex=561 nm, Em=560-620 nm
・鮮明さの比較
免疫染色後のMitoBright IMまたは既存試薬のミトコンドリア局在性を、ミトコンドリアマーカーであるTOM20抗体を用いて比較しました。HeLa細胞をMitoBright IMまたは既存試薬で染色した後、TOM20抗体を用いた2次抗体染色法にて蛍光観察しました。その結果、既存試薬はミトコンドリア以外にも分散してバックグランドが高くなったことに対して、MitoBright IMはバックグランドが抑えられ、その局在はTOM20抗体と一致することが確認されました。
<検出条件>
Ex=561 nm, Em=560-620 nm
スケールバー:10 µm
既存試薬との比較
MitoBright IMはMitoBright LTと異なり固定化の用途に特化させた製品です。また、MitoBright IMは既存MitoBright LT同様はDMSOに溶解した製品であり、染色溶液を調製する手間がなくすぐにお使い頂けます。その他の性能の違いは下記表をご参照ください。
使用回数の目安
MitoBright IM 容量 | 蛍光顕微鏡 | |
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(35 mm dish, working solution 2 ml/dish使用した場合) |
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20 μl | 10 枚 | |
20 µl x3 | 30 枚 |
蛍光特性
よくある質問
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Q
MitoBright IM Red は DMSO溶液ですが、凍結融解を繰り返しても劣化しないのでしょうか?
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A
小社では凍結融解を5回繰り返した溶液を用いても、染色が可能であったことを確認しております。
長期間保存を行われる場合は、小分けした後に保存することを推奨致します。
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Q
細胞を薬剤処理した後にMitoBright IMで染色したところ、染まり方にムラが生じました。 対処方法を教えてください。
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A
薬剤処理をする前にMitoBright IMで染色してください。
本色素はミトコンドリア膜電位に応じて集積する性質を持ち、著しく膜電位が低下したミトコンドリアには集積しません。(参考)
HeLa細胞をFCCPによる処理前後でMitoBright IMで染色し、蛍光観察しました。
MitoBright IMで染色後にFCCP処理を行うと蛍光が観察されましたが、FCCP処理後に染色した場合は、蛍光が観察されませんでした。